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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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防食塗料用ビヒクル:フェノール樹脂、塩化ゴム系樹脂



《フェノール樹脂》

 フェノール樹脂は合成樹脂中最も古くから生産されたもので、ベークライトの商品名で親しまれてきました。これは石炭酸(フェノール)とホルマリンなどからつくられるもので原料及び反応方法により種々のタイプがあります。一般にフェノール樹脂の塗膜はそれ単独よりむしろ、フェノール変性フタル酸樹脂、エポキシ―フェノール樹脂など他の合成樹脂と併用されることが多いです。

《塩化ゴム系樹脂》

 塩化ゴム系樹脂は、構造物用塗料としてはフタル酸樹脂塗料に比べ、乾燥が早く、耐水性に優れ耐薬品性もあることから、フタル酸樹脂塗料が比較的穏やかな環境で使用されるのに対し塩化ゴム系塗料は、厳しい環境で使用されてきました。
 塩化ゴムは、本来イソプレンの重合体を主成分とした天然ゴムを塩素化して65~68%の塩素含有量にした高分子化合物です。白色の粉末で不燃性ですが、130℃以上では塩化水素を発生しながら分解します。また天然ゴムの代わりにポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを塩素化したものも使用されています。
 塩化ゴムの製造は従来は四塩化炭素溶媒中にゴムを溶解し、塩素ガスを吹き込んで塩素化する方法でしたが、四塩化炭素がフロンと同様に大気圏のオゾン層を破壊するとされ製造・使用が禁止されることになりました。
 このため現在では、四塩化炭素を使用しない製造法が開発され、四塩化炭素フリーの塩化ゴム系塗料が販売されています。
 塩化ゴム系塗料は、塩化ゴムに可塑剤、安定剤、変性樹脂を加えて混合樹脂としたものをビヒクルとしています。変性樹脂としては変性アルキド樹脂が使われることが多いです。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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防食塗料用ビヒクル:乾性油、フタル酸樹脂(アルキド樹脂)



《乾性油》

 油脂は脂肪酸のトリグリセライドですが、そのうち高度不飽和酸の含有量が多いものは、空気中の酸素を吸収して酸化重合し、乾燥するので乾性油と呼ばれます。亜麻仁油、サフラワー油、支那桐油などが多く使用されています。これらの植物油はそのまま用いられることはほとんどなく、多くは長時間加熱重合してスタンド油としたり、低温加熱で空気を吹き込みながら加熱し、ボイル油として利用されます。このような処理により乾燥性が改善されます。酸化重合反応の促進の目的で、油性塗料にはコバルト、マンガン、鉛などの脂肪酸塩などが乾燥剤(ドライヤー)として加えられます。
 鉄鋼構造物の防錆には、油性さび止めペイントが長い間主流として使用されてきました。これは価格の安い割には防錆性能、耐候性が良好で、特別に厳しい腐食環境でなければ十分に防食効果を期待できることによります。また塗装作業性が良く、塗装環境の許容度にも幅があります。塗装前の素地調整の良否が塗膜の防食効果に及ぼす影響は非常に大きいですが、油性塗料の場合には他の塗料と比較してやや悪素地に適性を示します。このような使いやすさを有することも広く使われてきた理由と思われます。また反面、塗膜の乾燥・硬化が遅いこと、特に低温で極端に遅くなること、耐水性が不十分で浸漬される条件下には不適当であることなどの欠点も有しています。

《フタル酸樹脂(アルキド樹脂)》

 フタル酸樹脂は、石油を原料として得られる無水フタル酸とグリセリンなどを反応させて得られるもので、塗料用のフタル酸樹脂は油とフタル酸樹脂を化学的に結合させたもの(油変性フタル酸樹脂とも呼ばれます。)であって、使用する油の種類とその量により性質の異なったものが得られます。一般に油の量の多いものは長油性フタル酸樹脂、油の量が少ないものは短油性フタル酸樹脂、両者の中間位のものは中油性フタル酸樹脂と呼ばれています。防食塗料の分野では長油性フタル酸樹脂よりもさらに油の量の多いものを超長油性フタル酸樹脂と呼ぶことがあります。
 鉄鋼構造物の防錆塗装にはもっぱら長油性フタル酸樹脂が使用され、鉄道車両や機械類などの塗装には中油性フタル酸樹脂が多く使用されています。
 短油性フタル酸樹脂は他の合成樹脂と混合して用いられ、単独で用いられることはほとんどありません。長油性・中油性フタル酸樹脂塗膜の乾燥・硬化は、変性に使用されている油の酸化重合によるもので、油性塗料と同様です。
 フタル酸樹脂をビヒクルとして使用したフタル酸樹脂塗料は耐水性にやや難点はありますが、耐候性、付着性、乾燥性、保色性、作業性、その他多くの優れた特長を持っているため、戦後油性塗料に代わって飛躍的にその使用量が増加しました。特に長油性フタル酸樹脂塗料の中でも、比較的油性の長いものは合成樹脂調合ペイントと呼ばれ、従来油性調合ペイントが使用されていた分野にもその用途を拡大してきており、橋梁を始め石油タンク、鉄骨など中塗り・上塗りとして多く使用されています。

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さび止め顔料各論:ジンククロメート、亜鉛末、無公害さび止め顔料



(7)ジンククロメート

 K2O・4ZnO・4CrO3・3H2Oの組成を持つZPC型と、4Zn(OH)2・ZnCrO4の組成を持つZTO型の2種類に分けられますが共に淡黄色の顔料です。ZPC型は防食効果は大きいですが水可溶分が大きいので、耐水性のよいビヒクルを用いる必要があります。このためボイル油をビヒクルとした油性系に用いることはなく、油変性アルキド樹脂、フェノール樹脂などとともに用いられます。一方ZTO型は通常のさび止め用としてではなく、ブチラール樹脂、リン酸との組み合わせで金属前処理塗料(エッチングプライマー)に主として用いられます。
 ジンククロメートの防食作用は、次の通りです。
a)クロム酸イオンの作用により、金属表面を不動態化する。
b)顔料成分の塩基性物質により、金属面にアルカリ性雰囲気を作る。
c)クロム酸イオンにより腐食生成物を酸化して不溶性とする。
 ジンククロメートは軽金属・亜鉛など非鉄金属の防食にも多く利用される。

(8)亜鉛末

 亜鉛金属をそのまま粉末としたもので、成分のほとんどが金属亜鉛です。亜鉛とビヒクル、腐食性物質との反応、鉄に対し卑の電位をもつことなどを利用したものです。以前は亜鉛末と亜鉛華を併用した油性及び油変性合成樹脂とのプライマーが使用されてきましたが、近年はほとんど使用されていません。一方高純度の亜鉛末と、最小限のビヒクルを使用したジンクリッチペイントが優れた防食性能を示すので、最近その使用頻度が増大しています。

(9)無公害さび止め顔料

 従来広く使用されているさび止め顔料は、その大部分が鉛や6価クロムなどの有害性の高い成分を含んでいます。近年環境保護、労働安全の高まりから鉛やクロムを含まないさび止め顔料の開発が進み実用化されたものも多いです。
 代表的なものとしては
  リン酸亜鉛
  リン酸アルミニウム
  モリブデン酸亜鉛
  メタほう酸バリウム
  シアナミド亜鉛
 などが紹介されています。
 これらは、まだ規格化されているものはほどんどなく、その防食機構も解明されているとはいいがたいです。防食性能も従来品よりやや劣る傾向にあり、配合量が従来の防錆顔料より多く必要となり従来型のさび止め顔料を使用する場合に比べコストも上昇する点など今後改善すべき問題も多いです。

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