忍者ブログ

塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

[PR]



×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 住まいブログ 塗装・ペンキへ にほんブログ村 環境ブログ 大気・水・土壌環境へ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村


コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

【大気概論】大気汚染物質の健康影響



 二酸化硫黄(SO2)は水に易溶性なので上部気道で摂取されやすく、鼻粘膜、咽頭、喉頭や気管・気管支の上部気道を刺激します。微細粒子が共存すると、粒子にSO2が吸着され肺胞などの下部気道に到達し影響を与えます。また、体内に吸収された二酸化硫黄は(SO2)は、生体内の水分と反応し、亜硫酸水素イオンと亜硫酸イオンとなります。このとき発生する水素イオンと亜硫酸水素イオンは生体の核酸、タンパク質、脂質などと反応して生体に影響を与えると考えられています。
 二酸化窒素(NO2)は水に対して緩慢な溶解性を示すため下部気道に侵入しやすく、終末細気管支から肺胞にかけて影響がみられます。細胞膜の不飽和脂質を急速に酸化し過酸化脂質を形成することにより細胞膜を損傷します。また、動物実験の結果ではありますが、NO2曝露で微生物が増殖しやすくなり肺炎の発病など感染抵抗性の減弱を引き起こすことが示されています。
 一酸化炭素とヘモグロビン(Hb)の結合力は酸素とHbの結合力の200~300倍強いため、肺胞での酸素の取り込みができなくなり組織への酸素の供給不足をきたします。
 光化学オキシダントの90%以上はオゾンであり、オゾンの生体影響の機構及び影響はNO2に極めて類似しています。
 浮遊状粒子物質は、汚染ガスとの相互作用で各々単独の場合より相加-相乗効果がみられます。また、近年、ナノ粒子(直径10^-9m以下)を含めた超微粒子の健康影響が注目を集めています。
 ディーゼル排気粒子は平均粒子径0.2μm前後で、粒子の表面に数百の化学物質が吸着し、多くの突然変異原性や発がん物質が含まれます。
 石綿はケイ酸塩の繊維状鉱物で、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトなどの種類があります。日本での使用はほとんど発がん性の低いクリソタイルでした。
 有害大気汚染物質は、ある曝露量以下では健康影響が起こらない物質(閾値のない物質)と微量であってもがんを発症させる物質(閾値のない物質)があります。閾値のある物質については人に対して悪影響が観察されない曝露量(無毒性量)を、ベンゼンのような閾値のない物質については生涯リスクレベルとして10^-5(10万人に1人の割合のリスク)で管理目標を定めています。
 大気汚染物質の主な健康影響は表のとおりになります。
表1.大気汚染物質の主な健康影響
汚染物質
健康影響
二酸化硫黄(SO2鼻粘膜、咽頭、喉頭や気管・気管支の上部気道を刺激。
吸収され生体の核酸、たんぱく質、脂質などと反応。
二酸化窒素(NO2感染抵抗性の減弱。
気管支ぜん息患者の気道収縮期における気道反応性の亢進。
ダニ・アレルゲンに対する気道反応性の増強。
一酸化炭素(CO)酸素不足による中枢神経や心筋への影響。
光化学オキシダント目刺激、気道刺激。
浮遊粒子状物質呼吸器及び心臓血管系疾患の増悪、
呼吸器症状の増加と肺機能の変化、
肺組織と構造の変化、呼吸防御性能の変化。
ディーゼル排気粒子肺がんリスクの増加、肺腫瘍の増加、ぜん息様症状、
アレルギー性鼻炎。
石綿(アスベスト)石綿肺、肺がん、中皮腫、石綿胸水、胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)。
有害大気汚染物質発がん性(白血病等)、中枢神経障害、肝臓、腎臓障害。
表2.有害大気物質に係る環境基準値
物質ベンゼントリクロロエチレンテトラクロロエチレンジクロロメタン
環境上
の条件
1年平均値が0.003
mg/㎥以下
(H9.2.4告示)
1年平均値が0.2mg
/㎥以下
(H9.2.4告示)
1年平均値が0.2mg
/㎥以下
(H9.2.4告示)
1年平均値が0.15mg
/㎥以下
(H13.4.20告示)
用途化学工業製品の合成
原料等、ガソリン中
にも含まれる
化学工業製品の合成
原料、溶剤、洗浄剤
化学工業製品の合成
原料、溶剤、洗浄剤等
洗浄剤、溶剤、医薬
中間体等
健康
影響
人に対する発がん性
(白血病等)を
有することが確認
人に対する発がん性
(すい臓がん等)を
有することが確認。
発がん性以外に中枢
神経障害、肝臓・
腎臓障害等
動物実験で発がん性を
有することが確認。
発がん性以外に中枢
神経障害、肝臓・腎臓
障害等
動物実験で発がん性
を有することが確認。
発がん性以外に
中枢神経障害、生殖
毒性の可能性等
(注)閾値がない物質として取り扱われているのはベンゼンで、ほかの3物質は閾値がある物質として取り扱われています。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 住まいブログ 塗装・ペンキへ にほんブログ村 環境ブログ 大気・水・土壌環境へ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村


コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

広告リンク

ブログ内検索

忍者AdMax

楽天市場

ランキング

ランキング