塩化ビニル単量体を重合することによって、塩化ビニル樹脂が得られますが、塩化ビニル単独ポリマーは、耐薬品性、強じん性を持ち優れた性質を持っていますが、溶剤には溶けにくい、塗料用樹脂としては用をなさないので、塩化ビニルの特長をできるだけ生かしながら、塗料用として適性がある樹脂とするため、酢酸ビニルなどで変性されます。
(1)塩化ビニル、酢酸ビニル共重合樹脂
塩化ビニル70~87%、酢酸ビニル30~13%の共重合体で、重合度400程度のものが多いです。塗膜は加熱または紫外線によっていわゆる脱塩素、脱塩素反応が起こり、分解されるので、上塗り用として用いる場合には、種々の安定剤が必要になります。溶剤はケトン、エステル類が、希釈剤にはトルオール、キシロールが適しています。しかし、アルコール類には溶解しません。
(2)塩化ビニル、酢酸ビニル、マレイン酸共重合樹脂
全組成の1%がマレイン酸で変性されているので、自然乾燥の場合でも被塗物の付着性が良好です。一般的性質は塩化ビニル、酢酸ビニル共重合樹脂に類似しています。
(3)塩化ビニル、酢酸ビニル共重合樹脂の部分けん化物
水酸基を持った樹脂のため、炭化水素系溶剤には溶けず、アルコールの入った混合溶剤に溶けやすく、ケトン、エステル類にも良く溶けます。他の樹脂との相溶性に富み、乾性油変性アルキド樹脂とも相溶します。