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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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塗料の乾燥機構の種類



《冷却乾燥》

乾燥機構

塗料を加温または加熱して流動体として塗装し、温度の効果に伴って乾燥する。

塗料の代表例

ホットプラスチックペイント、コールタールエナメル(加熱形)

温度の影響

気温が低くなれば固化は早いが特にその影響は少ない。

膜厚の傾向

比較的厚い

《揮発乾燥》

乾燥機構

塗料中の樹脂は最初から高分子となっており、溶剤が揮発するだけでそのまま固化乾燥する。

塗料の代表例

ラッカー(ハイソリッドラッカーを除く)、ビニル樹脂塗料、塩化ゴム塗料、スチレン化アルキド樹脂塗料、合成樹脂エマルション塗料

温度の影響

気温が高ければ乾燥は速いが特にその影響は少ない。

膜厚の傾向

薄いものが多い。

《酸化重合乾燥》

乾燥機構

塗料中の溶剤がまず揮発し、次いで空気中の酸素を吸収して酸化重合反応を行い乾燥する。
塗料中に乾燥剤が配合されていて乾燥を促進する。

塗料の代表例

ボイル油、調合ペイント、油性エナメル、油性ペイント、フタル酸樹脂塗料、油溶性フェノール樹脂塗料、合成樹脂調合ペイント、ハイソリッドラッカー

温度の影響

気温の影響を大きく受ける。
特に低温の場合10℃以下では乾燥が極端に遅くなり、0℃以下ではほとんど乾燥しなくなる。また加熱による促進乾燥の効果はないものが多い。

膜厚の傾向

中間的な膜厚のものが多い。

《重合乾燥》

乾燥機構

溶剤を含まず、促進剤硬化剤を加えることによって化学反応(付加重合)を生じ乾燥する。

塗料の代表例

不飽和ポリエステル樹脂塗料(同パテ)、無溶剤エポキシ樹脂塗料

温度の影響

いずれも二液形(または三液形)になっている。
酸化重合形ほどではないが気温の高低は乾燥に影響する。
特に各成分混合後のポットライフ(可使時間)は気温に大きく影響される。

膜厚の傾向

比較的厚い。

《揮発重合乾燥》

乾燥機構

溶剤が揮発すると同時に、塗料中の成分(主剤、硬化剤、促進剤など)相互の付加重合によって乾燥する。

塗料の代表例

常温乾燥エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、常温乾燥アミノアルキド樹脂塗料

温度の影響

いずれも二液形(または三液形)になっている。
酸化重合形ほどではないが気温の高低は乾燥に影響する。
特に各成分混合後のポットライフ(可使時間)は気温に大きく影響される。

膜厚の傾向

比較的薄い。

《熱縮合乾燥》

乾燥機構

溶剤が揮発すると同時に、熱硬化性樹脂あるいは混在樹脂同士が加熱によって縮合重合することにより乾燥する。

塗料の代表例

メラミン樹脂塗料、フェノール樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、水溶性合成樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料などの焼付型塗料

温度の影響

気温の影響はないが各塗料により最適の焼付温度、焼付時間がある。

膜厚の傾向

薄いものが多い。

《光重合硬化乾燥》

乾燥機構

紫外線を照射することにより数秒で、ラジカル重合が完了する。

塗料の代表例

ポリエステル樹脂塗料、ウレタンアクリレート樹脂塗料、エポキシアクリレート樹脂塗料

温度の影響

気温の影響は少ない。

膜厚の傾向

薄いものから厚いものまで様々。




(注)この膜厚の傾向はそれぞれの乾燥機構に属する塗料のすべてが膜厚の厚い塗料、薄い塗料であるというのではなく、ここの塗料についていえば必ずしもいえない塗料もありますが、傾向としていえるように解釈してください。


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塗料の硬化機構




 塗料は乾燥してはじめてその機能を果たしうる状態になります。乾燥するということは、塗料にとっての第一歩であり、乾燥しなければ塗料とはいえないということが出来るほどで、またその遅速、程度などは素地の状態、使用時の環境とも密接な関係があります。

 次に、乾燥の状態を分類すると、

 指触乾燥

 指の腹に塗膜が軽く触れたとき、指に塗料が付着しない状態。

 硬化乾燥

 指の腹で塗膜を強く圧したとき、塗膜に指紋が付かない状態。塗膜の内部の乾燥反応は大部分終了している。
 油性系塗料の場合には半硬化乾燥といって硬化乾燥と区別することもあります。

 完全乾燥

 感覚的には判別しがたいのですが、塗膜内部の乾燥反応が完全に終了して固化した状態。

と大別されます。重ね塗りしてよい時期は、硬化乾燥(または硬化乾燥)以後です。それは揮発すべき溶剤はほとんど揮発し、塗膜内の硬化、重合などの化学反応がほぼ終了した時期が硬化乾燥です。
 この時期以後は化学反応の速度が遅くなり、反応が完了する(完全乾燥)までには長期間を要します。塗料によってはこのような区別が判然としないものもありますが、塗料の乾燥時間とただ単にという場合には通常標準状態(温度20℃、湿度75%)での乾燥時間を指しています。

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塗料の乾燥・硬化における各種条件




 塗料の乾燥・硬化は、溶剤・水などの蒸発することにしても、重合反応をするにしても、必ず必要となる条件は温度と湿度です。
 特に自然乾燥形の塗料の場合、その条件は一定に定め、管理することが困難であり、またそれゆえに乾燥条件に起因する事故も発生しやすいものです。
 特に湿度については高湿度となった場合、揮発乾燥形の場合は白化(かぶり)現象を生じやすく、揮発・粒子融合形塗料の場合、水の蒸発が遅れ、塗膜の流れ、色むらなどを発生しやすくなります。
 また重合乾燥形のポリウレタンなどは水とも反応する性質を持つため、多湿状態で塗装すると、外気の水と反応して、発泡を生じたり、不完全な塗膜となりやすくなります。
 このように、乾燥時の条件は、温度、湿度が中心となりますが、これらに影響する風の強さ、天気、雨などには十分注意しなければなりません。

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