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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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プレコート鋼板とクロメートフリー



環境負荷低減など環境に配慮した製品へのニーズが高まっており、プレコート鋼板においても例外ではありません。そのような視点からクロメート(六価クロム化合物)を含まないプレコート鋼板の開発が進められています。現在プレコート鋼板の下地処理と下塗り塗料には、クロメートを含む表面処理薬品や防錆顔料が広く使用されていますが、EUなどを中心に各種の規制がなされています。現時点では国内には製品そのものへのクロメートの使用を規制する法律はありませんが、有害性は認知され環境基準などには反映されており、いずれは何らかの規制が始まるものと予想されます。この動向に対応してプレコート鋼板のクロメートフリー仕様の検討が進められています。近年ではクロメートフリー化の鍵となるクロメートフリー防錆顔料とその塗膜への配合技術の開発が進み、外装用途としてのクロメート防錆顔料と遜色ない防錆性能が得られつつあります。
 ここで六価クロム化合物防錆機構を説明すると、クロメート顔料や前処理などから供給されるクロム酸イオンは金属表面で還元され、高分子化した水和酸化クロム層を形成し、下塗塗膜との密着性を向上させます。また、傷付きなどにより金属表面が露出した場合も、同様に不導体化した保護膜を形成します。これはクロム酸イオンによる自己修復機能と呼ばれています。またこれらの皮膜は腐食因子の侵入を抑制する効果も有しています。
 一方、クロメートフリー防錆顔料も六価クロムと同様に酸化力を有する物質に着目し開発が進められています。プレコート鋼板用としては、カルシウムシリケート系、五酸化バナジウム系などがクロメートに比較的近い防錆機構を得ていると考えられており、さらに水溶解特性やめっき鋼板の腐食が抑制できるpHなどを考慮した設計が加えられ、クロメートとほぼ同等の防錆性能を有する下塗り塗膜も開発されています。
 比較的腐食環境の緩やかな屋根曝露(雨がかかる環境)では、クロメートフリー仕様プレコート鋼板はクロメート仕様とほぼ同等の性能を有しています。さらにエスジーエルそ塗装基材として組み合わせることで、軒下などより厳しい腐食環境を想定した複合サイクル試験でもガルバリウム鋼板を基材としたクロメート仕様を大幅に上回る性能を得ることができています。
 このようにクロメートフリー仕様においても、塗装基材を適切に選択することで、様々な腐食環境に対応することが可能となっています。

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プレコート鋼板の開発動向



住宅外装用途では、プレコート鋼板には長期の耐久性が要求されます。特に近年では、各住宅メーカーも長期優良住宅認定制度などを背景に、長期保証に耐えうる設計やメンテナンスプログラムを明確に示すことで、数世代にわたって長く住める住宅であることをPRしています。このような住宅メーカーの取り組みに対応すべく、建材用プレコート鋼板もその耐久性を向上させてきました。特に基材となる表面処理鋼板は大きく進化してきました。
 建材用プレコート鋼板の需要が低迷する中で、ガルバリウム鋼板を基材としたプレコート鋼板の生産量は大きく伸びてきました。近年では金属製屋根・壁のガルバリウム鋼板比率は85%を超えています。これはガルバリウム鋼板の高い耐食性が広く認知されるようになったこと、溶融亜鉛めっき鋼板各社が市場参入したころで供給量も増えて価格が下がり、コストパフォーマンスが大きく向上したためです。
 ガルバリウム鋼板を基材としたプレコートは、腐食の初期に切断端面部からの塗膜の膨れが大きくなることが当初は問題視されていましたが、年数が経過すると塗膜膨れの進行速度が遅くなり、長期では溶融亜鉛めっきを基材とするプレコート鋼板よりも耐食性に優れることが実証されています。一方、ガルバリウム鋼板のめっき組成に2%のマグネシウムを添加することで、ガルバリウム鋼板の3倍以上の未塗装時の耐食性を実現した溶融合金亜鉛めっき鋼板(エスジーエル)が2013年に上市されています。
 ガルバリウム鋼板は、一般環境下では初期は亜鉛リッチ層による防錆効果(犠牲防食作用及び腐食生成物の保護作用)が働き、長期ではアルミニウムの腐食生成物が、溶出した亜鉛リッチ層を充填(自己修復作用)し、高い耐食性を発揮します。しかしながら、海岸至近の軒下部のように厳しい腐食環境においては、早期に亜鉛リッチ層の溶出が起こり、アルミニウムの自己修復作用が不十分な状態で腐食が進行してしまいます。一方、エスジーエルはマグネシウムの効果により亜鉛の腐食生成物がより緻密で保護効果の高い皮膜を形成するため、亜鉛リッチ層の溶出が抑えられ、厳しい腐食環境においても高い耐食性を示します。
 このように住宅の立地や部位による腐食環境の違いに応じて、基材を適切に選定することで、要求にマッチしたプレコート鋼板の耐久性を得ることが可能です。

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プレコート鋼板の要求性能



プレコート鋼板は、様々な形に成型加工され、使用されることが前提であること、また主に外装に使用されていることから、成型時に塗膜割れや塗膜の剥離や傷が生じにくい性能、また成型後実際に使用される環境に応じた耐久性や機能などが要求されます。特に外装材としての美観や機能(雨が漏らない、など)維持の観点から求められる耐食性及び耐候性などの、いわゆる耐久性は、塗装基材となる表面処理鋼板とその上に形成される塗膜とが最適に組み合わされてこそ発揮されるのです。特に組み合わせる表面処理鋼板の耐久性は重要で、現在そのほとんどにガルバリウム鋼板が使用されています。一方、塗膜にも厚膜化や高耐候性樹脂なの採用が進んでいます。
 また、太陽熱を反射する高遮熱化機能や窓サッシ下部などでよくみられる壁の筋汚れに対する防汚性、クロメートフリー化などの環境対策や、細かなところでは窓シャッター開閉時の音鳴りの防止性なども要求されています。

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