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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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層間剥離:上塗/下塗塗料の相溶性がよくない場合




 うるし・エマルション塗料も含め10種類の典型的塗料を組み合わせ、それら塗装系の層間剥離を各種付着試験法を用いて調べた結果があります。層間剥離の傾向は次の通りのようでありました。

 層間剥離を起こさない塗装系
 ▽ウレタン・ビニル・エポキシ/ポリエステル系
 ▽ウレタン/アミノアルキド系
 ▽エポキシ/アルキド系
 ▽ビニル・アルキド/エポキシ系

 層間剥離を起こす塗装系
 ▽エマルション/ウレタン系
 ▽ニトロセルロースラッカー/ビニル
 ▽ビニル/ニトロセルロースラッカー系

 塗膜物性(特に吸水膨潤度)が著しく相異する組み合わせは、層間剥離を起こしやすいと考えられますが、実際には層間剥離と関係はありませんでした。たとえば、塗膜の吸水膨潤度に大差のあるエポキシ(1.70%)とポリエステル(7.10%)はよく付着するのに、近似するビニルと(4.40%)とニトロセルロースラッカー(5.95%)は特に層間剥離を起こしやすいのです。
 ニトロセルロースラッカーとビニル樹脂塗料ともに溶液形塗料であるから、ビヒクルポリマーの相互拡散により層間剥離が起きないと考えられますが、結果は最も剥離する部類に属しました。このような現象はニトロセルロースとビニル樹脂との相溶性に起因すると考え、ニトロセルロースと相溶するアクリルラッカーAと相溶性に乏しいアクリルラッカーBについて実験されました。しかしながら、相溶性に乏しいといっても、塗料工業における通常の相溶性テストでは評価できない程度で、ニトロセルロース/アクリル樹脂混合塗膜の力学的損失(tanδ)あるいは弾性率の温度依存から相溶性に乏しいことが推察できる程度です。このように相溶性のよくない塗料はたとえ溶液形塗料同士でも層間剥離が起こるのです。

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層間剥離:層間に付着障害物質が存在する場合




 下塗/上塗境界層に水溶性物質または脆弱な物質の層があれば当然層間剥離の原因になります。このような付着障害物質は下塗塗膜後表面に付着するものや塗装過程で塗料成分と反応して生成するものなど、塗料の種類や硬化条件により多種多様であります。
 前者の例としては、上塗塗装前に高濃度の潮風が下塗塗膜表面に塩分を析出させる場合があります。塩分を挟み込んだ形のこの塗装系が多湿条件に置かれると、上塗塗膜を通過した水分によりこれら塩分が潮解して層間剥離を起こします。
 トタン板やジンクリッチペイントなど亜鉛に対する油性塗膜の塗着不良は古くからよく知られています。ラテックス・塩化ゴム系あるいは反応形塗料など油を原料としない塗料ではこのような現象は起こりません。
 上塗り性、特にジンクリッチ塗膜に対する油性塗料の上塗りが層間剥離しやすいことに着目した研究者は、この原因をぬれが悪いかあるいはかさ高いか(弱境界層になる)、いずれにしても層間付着の障害になる亜鉛腐食化合物(たとえば塩基性炭酸亜鉛・塩化亜鉛・硫酸亜鉛)が表面に形成されるためであると言っています。

 ジンクリッチペイント・亜鉛めっき鋼板など亜鉛上に直接長油性アルキド樹脂または油性塗料を塗ると、短期間の曝露で剥離を起こすことがあります。この原因を解明する目的で、亜鉛めっき鋼板およびチタンめっき鋼板に各種塗料を塗布し、屋外暴露後、全反射赤外吸収スペクトル分析による亜鉛-塗膜界面の生成物の分析・トルク法による塗膜の付着強さの測定および単離塗膜の粘弾性測定を行い、素地が亜鉛の時に起こる特長について調査が行われています。また、アルキド樹脂塗料中に添加すると付着性を向上するといわれている鉛酸カルシウムの効果についても、同様の方法で検討されています。
 その結果をまとめると、以下のようになります。
 (1)亜鉛上に塗装した長油性アルキド樹脂および油性塗料では亜鉛セッケンの生成が
   認められ、このような塗膜の付着強さは曝露により著しく低下する。〔境界層に生成した
   亜鉛セッケンが弱境界層になる〕
 (2)亜鉛セッケン生成により塗膜の劣化が促進され、脆化が認められる。特に亜鉛-塗膜間の
   劣化が著しいと考えられ、付着低下の主因と推定される。
 (3)塗料中に鉛酸カルシウムを添加することにより、亜鉛セッケンの生成反応が抑制される。
   また、この塗膜の付着強さは曝露後も低下せず、鉛酸カルシウムの添加効果が認められた。

 また、アミンアダクト硬化タール/エポキシ塗料を用い、塗り間隔を変え3回塗装し、4種類の塗装系を調整して、サンドイッチpull-off試験により付着強さを測定する実験も行われています。結果をまとめると次の通りになります。
 (1)脱着の大部分は第2/第3塗膜間の層間剥離であった。
 (2)塗り間隔7日間の塗装系が最も付着がよく、第3回目の塗装間隔を1ヶ月にした系が最低で
   あった。後者の場合、第2回目の塗膜表面をMIBKでこすった系は付着強さが向上したが、
   塗り間隔7日間の系より付着強さはかなり低かった。
 この種の塗装系も硬化過程で何らかの付着障害物質が塗膜表面にできているものと考えられます。

 鉛丹さび止め塗料も貯蔵期間の延長に伴い層間剥離を起こすことがよく知られています。鉛丹さび止め塗料JIS-1種について、主に分析的手法で層間剥離の原因を追究した結果、塗料中の油分が貯蔵期間中鉛丹と反応して鉛セッケン・ジエステル・モノエステルなどのけん化物が生成することがわかっています。さらに、種々の表面分析の結果、これら鉛セッケンは塗膜内部より表面近くに偏在して、弱境界層を形成します。そのため、表層部の凝集破壊による層間剥離を起こすと考えられています。また、塗料にシリコーンを添加すると、シリコーンが表面に浮き、鉛セッケンの表面浮きを抑制するため、層間剥離の防止の対策になることが明らかになっています。

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層間剥離:下塗塗膜の硬化が過度に進行した場合




 下塗りが橋かけ形塗料では、硬化が進めば橋かけにあずかる官能基が減少するので、上塗りとの付着に有効な付着活性点が減少するため、層間剥離が起きやすくなります。建築塗装業界などでは、経験的に”かたい下塗塗膜ほど上塗りの付着が悪い”といわれています。
 アミノアルキド樹脂白エナメルおよび酸硬化尿素樹脂ワニスについて、重ね塗りの場合の層間付着強さに及ぼす下塗塗膜の硬化の影響が調べられています。方法として、市販のアミノアルキド樹脂白エナメルを焼付温度を変え(各30分焼付)、さらに同じエナメルを上塗りし、同一条件(120℃/30分間)で焼付けて試験片を作成する実験が行われています。
 その結果、付着強さ(層間)測定器の種類が異なると、例えば碁盤目試験とアドヘロメーターのように全く逆のものとなり、興味深いものとなりました。アドヘロメーターの測定機構は塗膜の切削機構が主であるため、硬化の進行に伴い層間付着強さが増大する一方(下塗塗膜表面の切削凝集破壊)、一般には層間付着強さは低下します。
 酸硬化尿素樹脂ワニスの場合、合板にワニスを塗布し、室温で時間別に乾燥した後、同一ワニスを上塗りし、実験が行われました。結果は、塗り間隔3~5日で層間付着強さは急激に低下しました。当然のことながら、この塗り間隔時間はワニスの種類・硬化剤の種類や濃度・乾燥温度などワニスの硬化速度の変化に伴って変化します。同時に、ワニス中の活性基の消滅を追跡する目的で、硬化過程における赤外吸収スペクトルが測定されました。この種の塗膜の橋かけ反応機構はかなり複雑ですが、硬化に伴うNH基濃度の増加(相対的に水酸基やCH2OH基など付着活性点の消滅)を、IRの吸光度比(logI0/I)に着目して同じグラフにプロットすることで解析されています。その結果、ワニス塗装後2~3日で活性基が急激に減少し、それに対応して付着強さも急激に低下することもわかります。
 以上のように、層間剥離の原因の一つは上述のような硬化に伴う付着活性点の減少とそれによる上塗塗料の溶剤による膨潤性の低下であります。その対策の一つとして、未硬化状態で上塗りするか、アンカー効果を念頭に下塗塗膜を簡単に研磨などする必要があります。

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