《溶剤類の洗浄特性》
洗浄に用いる溶剤は、溶解特性、物理的特性、経済性、安全性、安定性、毒性、自然環境への影響などが評価項目となって選ばれます。
親油性溶剤と親水性溶剤に大別され、前者は水に不溶性で石油エーテルに溶解するもので、後者は水によく溶解するものになります。この中間的なものは酢酸エステルなどがあります。
(1)親油性溶剤
脱脂用溶剤として広く使用されているもので、脱脂力の指標としてはKB値が一般に用いられます。
フッ素系合成溶剤;
この系のフロン113はKB値は低く、脱脂力は弱いですが、不燃性、低毒性、安定性その他の特性が買われて、精密洗浄の分野で広く使用されてきましたが、地球規模の環境破壊物質として近い将来、全般的に使用が禁止されることになったのは、よく知られているとおりです。同じ系統の代替溶剤の開発にも大きな期待は持てないところです。
塩素系合成溶剤:
この系のメチレンクロライド、トリクロロエチレン、、パークロロエチレン、トリクロロエタンなどは、いずれも不燃性で、KB値が高く、また適当な沸点を持つことなどから、精密洗浄における脱脂用溶剤として広く用いられてきました。しかし毒性が強く、環境汚染物質として規制が強化され、使用するとしても完全クローズドシステムが要求されることになるでしょう。
炭化水素系溶剤:
この系のものは、合成溶剤以前から使用されてきたもので、KB値が高く脱脂用として適するものには、トルエン、キシレン類、テレピン類などがあります。引火など安全性に欠けること、沸点がやや高いことなどが問題になります。
(2)親水性溶剤
メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類やアセトンなどが主なものでありますが、油性汚れの溶解力に乏しく、また安全性にも欠けます。
エタノールは毒性も低く、生分解性もよく、洗浄への積極的な活用が期待されています。60%濃度以下のアルコール類は危険物の対象から除外されていますので、すすぎ用、乾燥用媒液としての利用の道が広がるものと思われます。
《溶剤を主な媒液とする洗浄システム》
光学機器、精密機器、電子機器の部品などの精密洗浄の場では、合成溶剤を媒液とするシステムがこれまで主流でした。それは不燃性のため安全管理を必要としませんし、洗浄装置がコンパクトに組み立てられ、工程管理が比較的容易であるなどの利点をもっていたためであります。洗浄廃棄物の処理もこれまでは安易に行われていました。
しかし、フロンのようなフッ素系溶剤は既に使用禁止の段階に入っています。塩素系溶剤はその毒性が強いために、現在暫定排水濃度目標が定められていますが、将来さらに厳しい規制が求められる状況にあります。原則的にはクローズドシステムが採用されなければなりませんが、低沸点で、多少とも水に溶解する合成溶剤を作業区域内に完全に閉じ込めることは至難でありますし、できたとしても多大の経費を要するでしょう。
前記の炭化水素系溶剤類は、塩素系溶剤類より毒性が低く、生分解性も勝っているので、溶剤使用の際の選択肢の一つであります。しかし、引火性であるので十分な安全対策を備える必要があります。またいずれも100℃以上の沸点をもつので、乾燥媒液としての適性に欠けます。
以上のような理由から、溶剤を媒液とするシステムはこれまで以上に経費が増すことは避けられません。
《三協化学(株)のつぶやきと代替溶剤製品のご紹介》
▽電子部品洗浄剤F-1
●電子部品洗浄剤F-1 ・電子部品洗浄剤F-1は商品名は「電子部品洗浄剤」となっておりますが、エタノール濃度
99.5%の無水エタノールです。
・変性アルコールのため、酒税が非課税で、通常の無水エタノールより安価です。
※通常の無水エタノールには飲料可能なため、酒税が掛かっており高価になります。
・酒税の掛かっている無水エタノールを使用するあらゆる用途の代わりとして利用できます。
・工業用として、フラックスの洗浄や無水エタノール代替に。家庭用としてキッチン周り、
ガラスや鏡、生活用具、照明などあらゆる掃除に使用できます。
・【容量】1000mL 【エタノール濃度】99.5vol%
▽NTXシリーズ
●NTXエコシンナー ・NTXエコシンナーは塗料・インキ等の希釈・洗浄剤です。ラッカーシンナーや洗浄用
シンナー等の各種シンナー代替品として使用可能です。
・塗料・インク・接着剤の希釈、塗装ジグの洗浄、樹脂成型金型の洗浄に使用できます。
・特化則、有機則、PRTR法に非該当の為、作業環境の改善に役立ちます。
・希釈用シンナーの代替品として塗料の希釈にも使用できます。 (使用できるかどうかは相性
次第です。希釈粘度、塗装の仕上がり状態から判断してください。)
・消防法区分:消防法第一石油類非水溶性
▽エタコール7
●エタコール7 ・アルコール濃度99%以上の高純度アルコール品です。(うち、エタノール濃度は85%以上)
・IPA(イソプロピルアルコール)、メタノール、無水エタノール(特定アルコール)などのアルコール類
の代替品として利用できます。
・無水エタノールと比べ酒税が掛からないため、安価でコストダウンになります。
・軽い油分の洗浄、フラックス洗浄、帯電除去剤、ガラスや樹脂成型品の最終仕上げ(ほこり
や皮脂の除去)に最適です。
・特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則非該当、PRTR法に非該当の為、作業
環境の改善に役立ちます。 消防法区分:消防法アルコール類
▽高純度イソヘキサン
●高純度イソヘキサン ・使用用途:医薬品原料、接着剤・クリーナー溶剤、重合溶媒、塗料・インキ溶剤 ノルマル
ヘキサン代替品
・沸点(℃)62.0、比重0.66
・CAS No.107-83-5
・消防法:第1石油類非水溶性
・ノルマルヘキサンの含有量1%未満のため、PRTR法に非該当な高純度品です。