粉体塗装の塗装方法は、静電塗装法と流動浸漬塗装法の2つに大別されます。
《静電塗装法》
静電塗装法は粉体塗料に静電気を帯電させて被塗物に付着させる塗装方法で、その後の焼付工程で塗膜を形成させます。
静電塗装法は、塗料を帯電させる方法によって、さらにコロナ帯電法と摩擦帯電法に分けられます。
コロナ帯電法は、塗装ガンの先端のコロナ電極(コロナピン)に高電圧(-45kV~-100kV)を印加することで発生するイオンによって粉体塗料をマイナスに帯電させる方法であり、最も一般的な塗装方法になります。
摩擦帯電法は、ガン内部にテフロン筒を設け、粉体塗料がテフロン筒と擦れることで帯電序列に従ってプラスに帯電させる方法になります。摩擦帯電法は塗料のみを帯電させるため、貫入性(複雑な形状物内部への入り込み性)や塗装外観がよく、近年増えている塗装法であります。
《流動浸漬法》
流動浸漬法は、粉体塗料をエアーで流動させた槽の中に被塗物を浸漬し、熱溶融または帯電によって付着させる塗装法で、その後焼付工程で塗膜を形成させます。流動浸漬法には予熱流動浸漬法と静電流動浸漬法があります。
予熱流動浸漬法は、被塗物をあらかじめ熱しておき、流動塗料槽に浸漬する方法であり、非常に厚い塗膜を形成させることができます。ただし、本法は浸漬中に塗料が被塗物上で溶融する必要があるため、熱容量の大きな被塗物でないと適用できない方法になります。
静電流動浸漬法は、流動槽内の電極で塗料を帯電させ、浸漬した被塗物に粉体塗料を付着させる方法になります。ただし、膜厚コントロールなどの問題があり、一般的ではありません。
粉体塗料の塗装方法の中で、最も一般的に利用されているのは静電塗装法になります。
関連用語:粉体塗料