可塑剤とは、ある材料に柔軟性を与えたり、加工をしやすくするために添加する物質のことを指します。
JIS K 5500「塗料用語」ににおいて可塑剤とは「乾燥した膜に伸び、タフネス、たわみ性を与えて塗膜の性能を向上させるために塗料に添加される物質。塗膜形成要素と相溶性のある不揮発性の液体または固体の物質を加える。主に、揮発乾燥性塗料の製造に用いる」と記述されています。
例えば、ポリ塩化ビニルは本来硬い樹脂ではありますが、そこに可塑剤を入れると、ポリ塩化ビニルと溶け合って材料を軟らかくするので、その添加量によって硬軟を自由に調節することができます。線状高分子中に可塑剤を入れると、可塑剤が高分子中に溶け込んで分散します。すると高分子が軟らかくなり、比較的低温でも軟化して成形加工が容易になり、成形物は適当な弾性を持つようになります。可塑剤の条件としては、その高分子となじみやすく、不揮発性で、高分子成形物の表面ににじみ出てこないようなものが好適です。
ポリ塩化ビニル樹脂の代表的な可塑剤としてはフタル酸エステル類が使用され、DOP(dioctyl phthalate、フタル酸ジオクチル)、DEHP(dietyl hexyl phthalate)フタル酸ジエチルヘキシル)やDINP(diisononyl phthalate、フタル酸ジイソノニル)などが汎用の可塑剤として生産量も多いです。