橋かけ型塗膜では、橋かけ密度によって付着性はかなり左右されます。一般に付着性は、最初のうちは橋かけの進行とともに塗膜の凝集力が大きくなるので増加しますが、過度に橋かけが進行すると、内部ひずみが増大するなどの付着障害が増して、かえって付着性は低下します。
アミノアルキド樹脂塗膜の場合、焼き付け温度が上昇すると、アミノ樹脂濃度の大きい塗膜の付着強度は低下し、逆にアルキド樹脂濃度の大きい塗膜の付着強度は増大します。また、付着強度の最大値は、100~150℃の焼き付けのときはアミノ樹脂濃度20~30wt%付近に現れます。
一方、メラミンアクリル樹脂塗膜の場合、付着強度はメラミン樹脂濃度20wt%付近で最大となり、また、焼き付け温度が150℃のときに最大となります。
付着強度は、塗膜の被塗面への付着力と、塗膜自身の凝集力のバランスとして現れ、いずれかの弱い方で破壊するので、付着強度が大きくなるためには、付着力と凝集力とが両方大きいことが必要であります。したがって、橋かけ型塗膜では塗膜組成や硬化条件によって付着性は変化し、付着強度に極大値が現れ、最適な配合組成と硬化条件が存在します。