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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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自動車用塗料の発展~上塗りの耐久性と機能性



《耐久性》

 新車の外観品質をいかに長期間保持するか、光沢の低下・変退色・メタリックではクリヤーのワレとして現れる上塗塗膜の耐候性は現在著しく向上しています。ホワイトで代表されるソリッドカラーはポリエステル樹脂と高耐候性顔料によって、メタリックカラーはクリヤー用アクリル樹脂の改良と紫外線吸収剤・光安定剤の開発によって飛躍的に向上しました。2コート1ベーク塗装方式が採用された開発初期のクリヤー塗膜は耐候劣化によって微小クラックを発生、外観品質を著しく損ないましたが、現在の塗膜は8年以上は十分にもつ品質となっています。クリヤー塗膜の耐候性の向上に伴って、本来の光沢保持の良さと洗車時の汚れの落ちやすさが注目され、ソリッドカラーにも2コート1ベーク塗装方式が採用されています。

《機能性》

 2コート1ベーククリヤーにフッ素樹脂が実用化されています。フッ素樹脂の高光沢保持性と撥水性の長期維持性が、自動車の高級化志向の流れの中で、高コストにもかかわらず採用された理由です。フッ素樹脂は従来塗料用溶剤への溶解性に難がありましたが、クリヤーに実用化されたフッ素樹脂は、トリフルオロエチレンとアルキルビニルエーテルを共重合することによって溶解性を改善、アルキルビニルエーテルの種類と量の組み合わせによって、光沢・硬さ・可とう性・架橋性などの自動車用塗料としての機能を付与したものになります。今後洗車時の耐すり傷性を付与することができればメンテナンスフリー塗膜としてのポテンシャルをもつ素材として期待されます。
 洗車時のすり傷は耐候性が向上した現在、外観を低下させる原因の中で大きなウエイトを占めるようになりました。すり傷は色によって目立ちやすさが異なり、濃(彩)色で目立ちます。近年着色マイカを使用した新趣向色が増えていることも耐すり傷性の重要性を高める要素となっています。

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自動車用塗料の発展~中塗りと耐チッピング性



《耐チッピング性と中塗り》

 北米、北欧では冬期に道路凍結防止を目的として大量の岩塩、砂利が散布されます。其所を高速走行する自動車は、車が跳ね上げた砂利などを車体の前部に高速で受け止め、塗膜剥離やさびが発生します。これをチッピングといいます。良好な耐チッピング性を保つには、塗装系のどこかの層で石の衝突エネルギーを吸収・拡散させる必要があり、その塗膜物性は高伸び率、高破断仕事量形が必要になります。電着塗膜は防せい性、上塗りは光沢、耐候性、耐汚染性を専心追求する結果、剛直で伸び率の低い(3~5%)塗膜になってしまいました。したがって、耐チッピング性は中塗りでカバーせざるを得なくなってしまいます。-20℃~-30℃の低温域で石の衝突エネルギーを吸収・拡散するためには、中塗塗膜の物性は極めて軟質にする必要があり、その結果上塗り仕上がり性が低下するという問題がありました。そこでチッピングのダメージを受けやすい部位のみに軟質・高物性の耐チッピングプライマーを塗装し、次いで中塗りを塗装することで耐チッピング性と高仕上がり性を両立させる工程が考えられています。

《不凍型耐チッピングプライマー》

 従来のポリエステル/メラミン樹脂系の塗膜の伸び率は20℃では50~100%の値を示しますが、-20℃の低温ではわずか数%の値となり、塗膜は硬く脆い凍結した状態になっています。このような状況ではチッピングによる衝突エネルギーは直接鋼板に達し、大きな傷跡になってしまいます。新たに開発された不凍型耐チッピングプライマーは、-20℃においても約300%の伸び率があり、低温チッピングにおける衝突エネルギーをプライマーの層内で吸収するため良好な耐チッピング性を示します。

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自動車用塗料の発展~中塗りと隠ぺい性



《塗装外観品質と中塗り》

 上塗塗装外観品質で最高の平滑性、光沢を引き出すには、それに先立つ中塗塗膜の平滑性優れている必要があります。各工程の塗装を施したダル鋼板の3次元粗度プロファイルを測定すると、電着塗膜の粗度はまだ十分な平滑性がないことから、中塗りは高度の下地粗度隠ぺい性(Filling-power)をもつ必要があります。そのために、塗料のハイソリッド化が必要不可欠であります。下地隠ぺいには当然のことながら、厚膜化も大きく寄与します。高級車では中塗り2回(第1,第2中塗り)塗装のケースもあります。中塗りは140℃で約30分、加熱硬化されますが、ここで架橋反応が不十分だと、上塗塗装時の溶剤で中塗塗膜が膨潤し、上塗りの光沢、鮮映性が低下します。

《高度下地粗度隠ぺい中塗り(高仕上がり中塗り)》

 この中塗りは、高揮発分領域でのレベリング性向上、体積収縮低下を主な手法として開発した高仕上がり中塗りであります。現在高級車に適用されている中塗り2回塗装方式を、中塗り1回で達成することが狙いでありますが、鋼板端面防錆力向上を目的としたエッジカバー電着塗料用の専用中塗りとして、大きな効果が認められています。エッジカバー電着塗膜は通常の電着塗膜と比べて、塗面の微小凹凸が大きく、高度な下地隠ぺい中塗りを使用しなければ乗用車の塗膜外観品質は得られません。エッジカバー電着~下地粗度隠ぺい中塗り工程と通常塗装工程を2次元表面粗度チャートで比較した結果、電着塗面粗度が大きいにもかかわらず、中塗り面では通常塗装工程と大差のない表面粗度になっていることが確認できています。

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