自動車塗料は、基本的に下塗り(電着)、中塗り、上塗りの3塗装工程から構成されています。それぞれの品質機能分担により、塗料の役割である「保護」と「美観」機能が発揮されるように設計されています。主に下塗りは防錆、中塗りは耐チッピング性、仕上がり外観、上塗りは、外観・意匠性および耐候性の確保が目的です。これらの塗料に対する市場からの要求品質は年々高度化し、現行系からの高機能・高品質化に向けた取り組みとともに、高生産性、ランニングコスト削減などの経済性も考慮した開発検討が必要となっています。2006年からのVOCを規制するための「改正大気汚染防止法」の施行に伴い、それまで以上にVOCを中心に二酸化炭素、廃棄物などの環境負荷物質削減に向けた環境保護型塗料・塗装対策が急務となりました。中上塗り塗装系において、VOC削減については、溶剤系から水性系塗料への移行展開、二酸化炭素削減については、塗装工程からの二酸化炭素主要発生源となっている塗装ブースおよび乾燥炉工程の削減に向けた塗装工程の短縮化による省工程の展開が促進されています。