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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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防汚塗料(antifouling paint)




 防汚塗料は船舶の没水部や海中構造物に塗装され、貝類や海藻など生物(動植物)の付着を防止する目的の塗料であり、一般塗料のような防錆性能や耐候(光)性能の付与を目的としない機能性塗料です。船底塗料という場合は防錆塗料と防汚塗料の両者を含めていいます。日本特許第1号は堀田 松の発明した船底塗料で有名であり、その中で使われた防汚塗料の名称「船底2号塗料」は現在も官公庁の用途に使われています。
 船舶の外板没水部に海中生物が付着したり、さびや塗膜のふくれが増加すると、摩擦抵抗が大きくなり、船速が低下し、燃料を余分に使い膨大な経済的損失を被ることになります。この対策に防汚塗料の果たす役割が大きいのです。また、最近では火力・原子力発電所の冷却用海水導入施設でも流量低下防止や剥落した生物による熱交換器チューブの閉塞を防ぐ目的に防汚塗料が用いられています。
 海水中での汚損は生物の繁殖によるものであり、その防止のために使用される塗料の防汚機構はつぎの3つに分類されます。
 ①塗膜に含まれる防汚剤により、生物の発育を防止するもの。
 ②塗膜のポリマー自体の表面溶解により摩擦性を下げ、生物付着を回避するもの。
 ③塗膜の表面エネルギーを小さくし、無毒で生物が離脱しやすい親水/疎水バランス表面を形成するもの。
 殺傷力の強い有機水銀剤などの防汚剤は地球生物全般に対しても影響が大きく世界的に規制がされました。有機すず系材料についても限定使用するように規制が広まっており、現在では防汚剤には亜酸化銅など数種に限定され使用されています。塗膜に摩耗性を発揮させる目的には、加水分解型あるいは水和分解型のポリマーが用いられています。
 発電所設備では、公害防止が強く求められ無毒タイプを主体に使用されています。
 なお、屋外で常時湿っている環境に使用される防かび、防藻塗料や、都市環境の美観上すすなどによる汚れを防止する低汚染性塗料は一般に防汚塗料には含めません。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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プレコート鋼板(precoated steel sheet, prepainted steel sheet)




 広義にはめっきや塗装された薄鋼板のことを指しますが、狭義には予め塗装された薄鋼板のことで、一般的には狭義の意味で用いられます。同義語にプリペイント鋼板もありますが、家電製品などの高加工用途に使われるプレコート鋼板を建材用プレコート鋼板と区別して使うことが多いです。アルミ薄板に予め塗装した同様な製品もあり、これを含めてプレコートメタルという呼び方もあります。また、フィルムを接着剤で貼り合わせたラミネート鋼板もプレコート鋼板に含めることも出来ます。最終製品の形状に加工してから塗装する従来の塗装はポストコートと呼ばれます。
 屋根、壁等の建築外装、シャッターや雨戸などの建築外装部材、浴室、厨房などの壁、天井、間仕切り、冷蔵庫、洗濯機、オーディオ製品などほとんどの弱電製品の内外板など極めて広範な用途に使用されています。プレコート鋼板を使用することで、塗装工程が省略でき、これに伴う作業者の安全衛生問題や排水・排気の環境問題が解消できます。プレコート鋼板の製造は管理された専用ラインで連続したコイル状あるいは切板状の鋼板を化成処理した後、塗装・焼付けして行われるので、膜厚や品質が安定してるのが利点で、排水や排気処理も完全で環境問題にも対応しています。塗装はプライマーとトップコートの2コート2ベークが一般的で塩化ビニル塗装(150~250μm)を除くと15~25μmが標準的な膜厚です。ラミネート鋼板の場合は塗装と同様に化成処理をした後、接着剤を塗布焼き付けて、フィルムをラミネートします。
 ポストコートと比較しての大きな違いは、塗膜が折り曲げや絞りなどの加工をされて使われることで、ポストコート塗膜に要求される硬さ、耐汚染性、耐食性、耐候性に加えて、加工性を兼ね備えていることが必要です。硬さや耐汚染性と加工性は本来背反する性質であり、これを両立させるため、厚み方向の傾斜塗膜や硬質成分の表面濃化など様々な工夫が塗膜に施されています。

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焼付け塗装(baking paint)




 塗料を乾燥させるときに、加熱炉等で加温して乾燥することにより塗膜を形成する操作を焼付けといいます。焼付け塗料は、主に自動車、家電製品などの工業製品に利用されていますが、塗膜形成時硬化反応を行う熱硬化性塗料と反応を伴わず熱溶融して塗膜を形成する熱可塑性塗料があります。熱硬化性塗料は、塗膜形成時に架橋(橋かけ)反応が起こり、密着性、強じん性や耐候性等の物性が改善されて品質の安定した塗膜が得られます。一方、熱可塑性塗料としては、ホットメルト形塗料(例:粉体塗料)やプラスチックゾル塗料などが挙げられます。

 焼付けは乾燥時間が短縮できるほか、品質管理も容易であるという特徴があります。反面、乾燥炉は被塗装品のサイズ、形状によっては大型のものが必要となるため、設備コストが大きくなる欠点があります。乾燥炉の形式は、一般に熱風乾燥炉や赤外線照射炉などが用いられます。排ガス出口には有害物除去のために排ガス処理装置が設置されます。
 代表的な焼付け塗料としては、アルキドメラミン樹脂塗料、熱硬化性アクリル樹脂塗料、粉体塗料などがあり、おのおのに定められた焼付け条件(温度:80~200℃、時間:15~30分)で乾燥されます。

焼付け塗料の分類

1.樹脂による分類~熱硬化性樹脂を用いた焼付け塗料(ベース樹脂+硬化剤、触媒)
 1-1.硬化の仕組み~縮合反応(アルキド樹脂、アクリル樹脂)
  アルキド樹脂またはアルキド樹脂の水酸基とアミノ樹脂のメチロール基が反応し、塗膜を形成する。
 1-2.硬化の仕組み~付加反応(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂)
  エポキシ樹脂はアミン、酸などと付加反応する。
  ウレタン樹脂はポリオールの水酸基がイソシアネート基(NCO)と反応する。
2.樹脂による分類~熱可塑性樹脂を用いた焼付け塗料(ベース樹脂、高重合度の微粉末(塩ビペースト樹脂など)、可塑剤)
 2-1.硬化の仕組み~加熱冷却による塗膜形成
  樹脂が熱溶融し、冷却によって塗膜になる(熱可塑性粉体塗料)。
 2-2.硬化の仕組み~ゲル化反応
  加熱によって粉末樹脂が可塑剤と膨潤し、ゲル化し固化する。
  この過程で若干の反応を伴う場合もある(プラスチックゾル塗料)。

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