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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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ふっ素樹脂系塗料(fluoropolymer coating)




 ふっ素樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレンなどに代表される脂肪族炭化水素系樹脂の水素原子の一部、または、全部がふっ素原子に置き換わった構造をもち、C-Fの結合が非常に安定であるため、耐候性が抜群によく被粘着性、耐薬品性等に優れています。
 ふっ素樹脂塗料は優れた耐候性により塗り替え期間を長くでき(塗り替え回数を低減でき)、ライフサイクルコストの削減に貢献できます。
 高耐候性機能以外には、塗膜表面を親水性にすることで雨筋などによる汚れを防止し、外観を保つ低汚染性塗料としても需要を拡大しています。
 ふっ素樹脂塗料は2つのタイプに分類されます。1つはポリふっ化ビニリデンをアクリル樹脂とともに有機溶剤に分散させたオルガノゾル系のものです。もう1つはフルオロオレフィンと溶剤相溶性の高いビニルエーテルを交互共重合させることによって有機溶剤に可溶化させたもので、ビニルエーテル化合物として官能基をもったモノマーを使うことでイソシアネートやメラミンで硬化することができます。
 ふっ素樹脂塗料の用途は建築向けがメインであり市場の7割弱を占めます。建築用途の中では屋根や壁材、内装材など、向上でライン塗装を行う製品が中心となっています。次いで、橋梁や大型建築物など塗装が困難で、塗り替え回数を低減させたい物件で採用されています。

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ビニル樹脂塗料(vinyl resin paint)




 ビニル樹脂塗料とは、展色剤としてビニル樹脂を使用した塗料です。
 ビニル樹脂としては、塩化ビニル樹脂をはじめとして、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂など種類が多く、塗料用展色剤としてはほとんどが共重合樹脂のものが使用されます。その代表的樹脂が塩化ビニル樹脂と酢酸ビニル樹脂の共重合体であり、これは塩化ビニル樹脂の強靭性、耐化学薬品性と酢酸ビニルの易溶性、可塑性、付着性などを兼ね備えています。塩化ビニルが87%前後のものは溶解性があまりなく、溶液粘度は高いですが、塗膜は強靭で耐薬品性が特に優れています。塩化ビニルと酢酸ビニルのモル比が70:30くらいの共重合体は溶解性が良く、溶液粘度も高くなりません。共重合体の性質は、重合度により異なり、塗料用としては大体平均重合度100~400程度であります。ケトン類、酢酸エステル類、芳香族系溶剤に溶解します。またアクリルエステル樹脂、アルキルフェノール樹脂などと相溶します。塗膜は、耐酸性、耐アルカリ性をはじめ、耐海水性、耐水性、耐候性などに優れます。
 これらビニル樹脂を用いた塗料は、溶剤蒸発によって乾燥するので速乾性です。これは耐水性、耐薬品性に優れていますが、耐溶剤性、耐熱性はあまり良くありません。従来この塗料は塗装1回あたりの膜厚が小さく、多数回の塗装を必要とする欠点がありましたが、最近では1回に60μm程度の膜厚が得られる厚膜型の製品も開発されています。

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白亜化(chalking)




 白亜化とは、塗膜の表面が、主に暴露によって劣化して粉状になる現象で、樹脂が光、水、熱等によって消耗して生じます。
 白亜化の程度は、樹脂の種類、顔料の種類と量、劣化する夾雑物によって異なります。樹脂は結合エネルギーが高く加水分解しにくいものが白亜化しにくいです。顔料は配合量が多いと樹脂の消耗で塗膜から離脱しやすく白亜化を生じやすいです。粒子径の影響もあり、酸化チタンのように励起されてまわりの樹脂の劣化の触媒となることもあります。
 合成樹脂調合ペイントでは3年程度の屋外暴露で白亜化を生じますが、ふっ素樹脂塗料では10年後でも白亜化は見られません。
 白亜化の評価は、JIS K 5600-8-6(1996)「塗膜劣化の評価ー白亜化の等級」に、粘着テープを押し付けて剥がし、これを黒あるいは白の背景面上に置き、標準画像と比べて点数評価する方法が規定されています。

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