素地調整は、対象物表面の有害物を除去し、また表面に適当な粗さを与えるために、物理又は化学的処理をすることです。また、ケレン、下地処理、下地ごしらえ、前処理などと言われることもあります。
物理的処理方法には、ブラスト処理、手工具仕上げ、動力工具仕上げ、火炎処理などがあります。
ブラスト処理処理は、一般に大面積の施工に適し、湿式と乾式があり、ほとんどは乾式が採用されています。湿式は粉塵防止が優先する特殊ケースに採用されます。また、研削材を打ち付ける方法には、ラインのブラストによく用いられる遠心力による方法(遠心式ブラスト)と、現地やブラストブースで良く用いられる圧縮空気による方法(エアーブラスト)があります。
なお、使用する研削材によりショットブラスト、グリットブラストなどと呼ぶこともあります。
手工具仕上げ(ハンドツールクリーニング)は、手軽な方法であり現地の施工にはよいのですが素地調整程度が低級の場合にしか採用できません。用いられる工具は、ワイヤーブラシ、サンドペーパー、スクレーパー、ハンマーなどになります。
動力工具仕上げ(パワーツールクリーニング)は、手工具仕上げの次に手軽な方法であり現地の施工にはよいのですが塗装システムの素地グレードが低級の場合にしか採用できません。用いられる工具は、エアーや電気を動力としたディスクサンダー、ワイヤホイール、チューブクリーナー、チッピングハンマーなどになります。
火炎処理は、あまり用いられませんが有機質の汚れ除去に適します。
化学的処理方法は、工場におけるラインでの処理に主に用いられ、塩酸5~15%、硫酸5~15%、リン酸10~20%などのピックリングになります。リン酸塩処理やクロメート処理も素地調整の範疇に入れることがあります。
また、油分、グリース、ダスト、土、塩分の付着除去には、溶剤、アルカリ、スチームによる方法があります。