《耐久性》
新車の外観品質をいかに長期間保持するか、光沢の低下・変退色・メタリックではクリヤーのワレとして現れる上塗塗膜の耐候性は現在著しく向上しています。ホワイトで代表されるソリッドカラーはポリエステル樹脂と高耐候性顔料によって、メタリックカラーはクリヤー用アクリル樹脂の改良と紫外線吸収剤・光安定剤の開発によって飛躍的に向上しました。2コート1ベーク塗装方式が採用された開発初期のクリヤー塗膜は耐候劣化によって微小クラックを発生、外観品質を著しく損ないましたが、現在の塗膜は8年以上は十分にもつ品質となっています。クリヤー塗膜の耐候性の向上に伴って、本来の光沢保持の良さと洗車時の汚れの落ちやすさが注目され、ソリッドカラーにも2コート1ベーク塗装方式が採用されています。《機能性》
2コート1ベーククリヤーにフッ素樹脂が実用化されています。フッ素樹脂の高光沢保持性と撥水性の長期維持性が、自動車の高級化志向の流れの中で、高コストにもかかわらず採用された理由です。フッ素樹脂は従来塗料用溶剤への溶解性に難がありましたが、クリヤーに実用化されたフッ素樹脂は、トリフルオロエチレンとアルキルビニルエーテルを共重合することによって溶解性を改善、アルキルビニルエーテルの種類と量の組み合わせによって、光沢・硬さ・可とう性・架橋性などの自動車用塗料としての機能を付与したものになります。今後洗車時の耐すり傷性を付与することができればメンテナンスフリー塗膜としてのポテンシャルをもつ素材として期待されます。
洗車時のすり傷は耐候性が向上した現在、外観を低下させる原因の中で大きなウエイトを占めるようになりました。すり傷は色によって目立ちやすさが異なり、濃(彩)色で目立ちます。近年着色マイカを使用した新趣向色が増えていることも耐すり傷性の重要性を高める要素となっています。