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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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自動車用塗料の発展~端面防錆型カチオン電着塗料




 カチオン電着塗料は一般面の防せいには優れていますが、端面の防せいには課題が残っています。近年、市場からは、端面の防せいの向上について、強い要求が出ています。防せい鋼板の使用、工作法の改善などで向上の方策はありますが、塗料の方からのアプローチも行わなくてはなりません。塗料の方からのアプローチは、トレードオフとなる二つの性質をどのようにしてバランスを取るかという非常に難しい問題になります。
 一方で仕上がり外観を現行以上に向上させ、一方では端面のさびを抑えるという二つの現象がトレードオフとなっている性質があります。外観をよくするためには焼付け時の塗膜の熱流動性をよくし、塗膜をより平滑にするよう心がけなければなりませんし、また端面のカバーをよくするためには、逆に、焼付け時の塗膜の熱流動を抑えることが必要になります。したがって、端面のカバーをよくし、しかも仕上がりをよくするには、方策としては単に電着塗膜の改善のみならず、鋼板からのアプローチ、またその上にのる中塗り、上塗りなどの面からのアプローチなどなどが、相まって達成できるものと考えます。
 端面防せいの向上は、前述したように、焼付け時の塗膜の熱流動を抑えることにあります。熱流動の要因を推進力と抵抗力の二つの要因に考え、その原理から、端面被覆の方策は溶融時の粘度低下の抑制と、表面張力と考えることができます。実験結果からは前者が支配的であり、方策の主眼は溶融時の粘度を上げることになります。熱流動の抑制と塗面の平滑性の両立は、前述したように難しい問題ではありますが、いかに両者のバランスを取るかが重要になります。端面防錆の方策としては顔料分を増加させて、熱流動を抑制する方式のシングルコート、ダブルコートの電着塗装はすでにラインで使用されています。それぞれの目的に応じ、各ラインは順調に流れていますが、自動車のボディーラインに適用するには、違った方策(中塗り、鋼板の改善など)を必要とするなど、まだ検討の余地があります。自動車のボディーラインに適用するためには、水平面の仕上がり性、3コートの仕上がり性、また現有設備の大幅な改造なしに使うことができるようにしなくてはならない等、さまざまな制約があります。これらを勘案するとRC剤(熱流動コントロール剤)を用いてのシングルコートの方式が焦点となってきます。RC剤を用いるシングルコート系の自動車ボディーラインへの適用でも、前述したように単に電着塗膜の改善だけでは外観仕上がり性の確保は難しく、鋼板の改善、中塗塗料の改善、またある時には塗装工程にも手を加えることも必要かもしれないなど、種々の要因を解決し、系として向上させる方策が必要となると考えられます。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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