▽概要
粉体塗料とは有機溶剤や水のような揮発性分散媒(溶媒)を用いず高分子合成樹脂を主成分とした塗膜形成要素を粉末状にしたもので、空気を媒体として粉末のまま、被塗物の表面に塗装し、加熱して粉末を溶融させて、塗膜とするものです。粉体塗料に用いられる樹脂は熱可塑性樹脂としては塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン系などがあり、熱硬化性としてはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などがあります。
▽粉体塗料の一般的特徴
粉体塗料の特長を次に示します。
(1)塗料中に溶剤を含んでいない無溶剤のため、溶剤による中毒、火災などの危険性がなく、大気汚染もなく、塗料成分が100%塗膜になります。
(2)従来溶剤型塗料としては使えなかった高分子量の樹脂が使用可能となり、高度の塗膜性能が得られます。
(3)溶剤型塗料で起こりやすいたれ、たまり、流れなどの欠陥が起こりにくく、一回で厚膜塗膜が得られます。
(4)粘度調整の必要なく一回塗りで必要膜厚が得られ、加熱前のセッティングも必要ありません。
上記の特徴もありますが、反面欠点もあり、一般に焼付け温度が高く、温度、湿度および圧力により粉体粒子のブロッキングを起こしやすいことが挙げられます。塗装設備も粉体塗料用として新規の設備、機器が必要であり、粉塵爆発に対する防止設備、対策が必要です。