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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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ビニル樹脂塗料の概要



ビニル基、すなわちCH2=CH-を持った化合物を重合して得られる樹脂をビニル樹脂といい、広義にはポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸エステルなどの広い範囲の高分子物質が含まれます。塗料界においてはビニル樹脂塗料といえば、塩化ビニル、酢酸ビニル、および塩化ビニリデンの重合体および共重合体を主成分とする塗料を指すのが慣例となっています。塗料状態としては、分散媒として溶剤または水(エマルション型、水溶性型)を用いたものがあります。一般的にこの塗料は耐薬品性、耐油性、耐水性において優れた性能を持っています。

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熱硬化性アクリル樹脂塗料②



▽プレコートメタル用熱硬化性アクリル樹脂塗料
 プレコートメタル用塗料に要求される性能は、加工性、耐候性、耐食性であることから、主にメタクリル酸高級アルキルエステルとアクリル酸エステルを用いた可とう性があって、破断強さの高いアクリル樹脂が用いられます。架橋材としてメチル化メラミン樹脂を用います。焼付け乾燥条件は230~250℃で1分以内が一般的です。

▽シリコーン変性アクリル樹脂塗料
 カラーアルミ、カラートタン、アルミニウム建材などの塗料は、非常に高度な耐久性が要求されるようになり、アクリル樹脂塗料自体、高い耐久性能を持っていますが、さらに耐久性を向上させる目的でシリコーンによる変性が行われます。変性方法としては、アクリル共重合物の中の水酸基と、メトキシ基を持つシロキサン(シリコーン中間体)のメトキシ基との反応、またはアクリル共重合物の水酸基と、水酸基を持つシロキサンの水酸基との反応などにより行うことが出来るとされています。シリコーン変性するとシリコーンの特性である耐水性、耐熱性、耐汚染性、耐寒性、耐候性などの性能が向上することが予測されます。

▽熱硬化性アクリル樹脂塗料の特性
 熱硬化性アクリル樹脂塗料は、塗装後焼付けすることにより、架橋、硬化して三次元構造となり物理的にも、化学的にも丈夫な塗膜を形成するため、耐候性、耐薬品性、耐溶剤性、耐水性、耐汚染性に富み、加工性にも優れています。従来アミノアルキド樹脂塗料を使用していた家電製品、カラー鋼板などは熱硬化性アクリル樹脂塗料に切り換わっていますが、焼付け条件はアミノアルキド樹脂塗料に比べ高温であることが問題となっています。

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熱硬化性アクリル樹脂塗料①



▽熱硬化性アクリル樹脂塗料の概要
 熱硬化性アクリル樹脂塗料は、架橋による網状ポリマーの形成が主点なので、側鎖官能基を選択したり、モノマー形成を変えることによって、目的に応じた塗料を作ることが可能です。自己硬化型は一般に高温焼き付け型(150~180℃)であり、ブレンド型は中温あるいは低温焼付け型(120~140℃)です。

▽自動車用熱硬化性アクリル樹脂塗料
 自動車用の熱硬化性アクリル樹脂塗料は、水酸基および適量のカルボキシル基を含み、主にアミノ樹脂を架橋材として硬化するものが塗料ベースとなっており、アクリルメラミン系と称すべきものになります。硬化反応は、アクリル樹脂中の水酸基と、メチロール化メラミンとの間のエーテル化反応によるアクリル樹脂間の架橋によって三次元化するとされており、架橋度はアクリル樹脂中の官能基量と組み合わせる架橋剤の量によって調節されます。
 自動車用熱硬化性アクリル樹脂塗料は、主としてメタリックカラーに採用されており、一部ソリッドカラーに採用されています。すなわちメタリック仕上げにおいて、耐候性、耐ポリッシュ性、耐汚染性に優れ、硬度が高く、光沢、鮮映性など外観的にも優れています。硬化乾燥時間も120~150℃で20~30分と、比較的低温になります。

▽家電製品用熱硬化性アクリル樹脂塗料
 家電製品用の熱硬化性アクリル樹脂は、アクリルアマイド、ヒドロキシルタイプいずれも用いられ、エポキシ樹脂、アミノ樹脂併用、組み合わせによって架橋反応させています。基本的樹脂の比率はアクリル樹脂/メラミン樹脂/エポキシ樹脂=65~75/20~10/15~5が一般的です。
 家電用として要求される塗膜性能は耐汚染性、耐候性、耐薬品性および二次付着性が必要です。焼付け乾燥条件は150~170℃で20~30分で、自動車と比較すると高温焼き付けになります。

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