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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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アミノアルキド樹脂塗料の概要



アミノアルキド樹脂塗料は、別名尿素、メラミン樹脂塗料とも呼ばれています。塗料のベースとしては、アミノ樹脂ワニス(ブタノール、キシロール溶液)と各種脂肪酸変性アルキド樹脂ワニス(キシロール、ナフサなどの溶液)とをそれぞれ適宜に混合して塗料化しますが、旗はアルキドとアミノ樹脂をあらかじめ共縮合して塗料化する場合とがあります。アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が用いられ、アルキド樹脂としては短油性、中油性のやし油、ひまし油、脱水ひま油(不乾性油)やトール油、大豆油、サフラワー油(半乾性油)変性アルキド樹脂が用いられ、長油性ではアミノ樹脂との相溶性がないためほとんど使用されません。
 一般に焼付け塗料として、温度120~150℃で20~30分間焼付け乾燥されます。乾燥塗膜は硬度、光沢、保色性に優れ、耐水性、耐候性、付着性に富んでいます。また長時間黄変などの変色が少ない特徴を持っています。反面アクリル樹脂塗料に比べて耐汚染性に乏しい、樹脂の性質上架橋に高温を必要としますが、最近は酸触媒を用いることにより低温焼付け型(90℃で30分)塗料、さらに自然乾燥で硬化する塗料も現れています。

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缶用材料の塗膜密着性



缶用材料として古くから用いられるスズめっき鋼板は、めっき工程の後クロメート処理を行います。これは、スズの表面酸化を防止し、表面の黄変や黒変を防止し、耐食性を向上させるためでありますが、同時に塗膜密着を向上されるものであります。さらにクロメート皮膜の傷防止の目的として綿実油、ジオクチルセバケートあるいはジブチルセバケートを塗布する場合が多いです。
 スズめっき鋼板の塗膜密着不良は“アイホール”として知られ、数々の報告があります。まず、クロメート処理皮膜量との関係を調べ、むしろスズの酸化膜量の影響が大きいことが明らかにされました。そして塗料の剥離はクロメート層の下側に発生するスズ酸化膜で起こると推定されています。このことは、実用上の意義は大きいのですが、金属層と有機塗膜の密着力が十分大きく、そのためその密着力あるいは密着機構についての情報を与えないことになってしまいます。また、他には塗油の効果について研究され、アイホールに対する経時変化が存在することが確認されています。同時にジオクチルセバケートではアイホールが発生されないことがも報告されています。塗膜密着性の経時変化も検討され、塗油した鋼板が受ける雰囲気の影響が最も大きいと報告されています。
 その後缶用材料のコストダウンを目的として、スズに代わるクロムめっき研究開発が盛んに行われました。クロム析出機構の研究と併せ、クロメート皮膜の効果についての研究が行われ、耐食性維持のためにはクロメート皮膜が不可欠なことも明らかになりました。
 クロムめっき鋼板は塗装した後の耐食性が優れていることから、広く実用化されるようになりましたが、それは塗膜密着性が優れているからであり、塗膜の密着性は塗膜下腐食と深い関係にあることを示唆するものであります。
 クロム電析機構の研究は、皮膜構造を考えるに重要な情報を与えるものでありますが、クロメート皮膜に着目しクロムめっき鋼板の表面層の解析を行った報告があります。この報告によると、金属クロム上層のクロメート層はクロム原子を中心とする水和化合物であり、この水和化合物は24%の水分を含み240℃で脱水することを明らかにしています。通常の塗膜は加熱によって硬化させるものでありますから、表面層に起こる脱水などの化学反応は極めて重要な意味を有し、塗膜密着性を変化させるものと考えるべきところであります。
 クロムめっき鋼板についてはさらに塗膜密着性を向上させるため、チタン、シリコンなどの酸化物あるいはそれに加えて綿実油を塗布する方法も提案されていますが、現在はジオクチルセバケートが多く用いられています。綿実油は二重結合を有する長鎖脂肪酸類でありますが、二重結合の効果を明らかにするためにステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸を再結晶または減圧蒸留によって精製し、クロムめっき鋼板に塗布して塗膜密着性への効果が調べられました。その結果は、二重結合が二個以上の時のみ密着性が向上し、0または1個の時はむしろ低下します。このことは、密着性向上のため油膜の選択に対し、重要な情報を与えるものとして期待されます。

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アルキド樹脂塗料の性能:スチレン化アルキド樹脂塗料



スチレン化アルキド樹脂ワニスと顔料とを練り合わせてエナメルを作り、これに少量の金属石けんの乾燥剤を添加して、乾燥性を加減します。乾油性変性アルキド樹脂エナメルに比べて乾燥が速く、常温で1~3時間以内で乾きます。乾燥塗膜は硬くて光沢があり、耐水性、耐アルカリ性に強いです。耐候性、付着性については、乾性油変性アルキド樹脂塗料にやや劣ります。また、他の樹脂類との相溶性はあまり良くありません。塗装の際注意することは、耐溶剤性が弱いので重ね塗りする場合、しわ、ちぢみ現象を生じることがあります。用途としては車両、農機具、計器雑貨などの仕上げ塗装や、ハンマートーンなどの模様仕上げに使用されています。

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