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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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自動車塗料・塗装技術への要求と取り組み



自動車塗料は、基本的に下塗り(電着)、中塗り、上塗りの3塗装工程から構成されています。それぞれの品質機能分担により、塗料の役割である「保護」と「美観」機能が発揮されるように設計されています。主に下塗りは防錆、中塗りは耐チッピング性、仕上がり外観、上塗りは、外観・意匠性および耐候性の確保が目的です。これらの塗料に対する市場からの要求品質は年々高度化し、現行系からの高機能・高品質化に向けた取り組みとともに、高生産性、ランニングコスト削減などの経済性も考慮した開発検討が必要となっています。2006年からのVOCを規制するための「改正大気汚染防止法」の施行に伴い、それまで以上にVOCを中心に二酸化炭素、廃棄物などの環境負荷物質削減に向けた環境保護型塗料・塗装対策が急務となりました。中上塗り塗装系において、VOC削減については、溶剤系から水性系塗料への移行展開、二酸化炭素削減については、塗装工程からの二酸化炭素主要発生源となっている塗装ブースおよび乾燥炉工程の削減に向けた塗装工程の短縮化による省工程の展開が促進されています。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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低フッ化樹脂塗料



フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂ともに融点200℃前後の樹脂で、フッ化ビニリデン樹脂の方が分解温度が高いため塗料用としては使いやすいです。いずれも白粉末の微粒子ポリマー(0.1~1.0ミクロン)で、高沸点溶剤に分散させた分散型塗料で、焼付け乾燥時に高沸点溶剤の溶媒和効果によりポリマーの融点を低下させて、溶融させると同時に高沸点溶剤が蒸発して連続塗膜を作るものになります。塗料の組成としては微粉末ポリマー顔料、高沸点溶媒、希釈剤、安定剤、添加剤からなっています。
 (1)高沸点溶媒 ジメチルフタレートジエチルフタレート、ポリエチレンカーボネート
 (2)希釈剤 MIBK,DIBKなどのケトン類
 (3)安定剤 ポリマーの熱分解を防止するためポリヒドロキシ化合物、リン化合物、硫黄化合物

 フッ化ビニル樹脂は結晶性のため結晶化度、結晶の大きさによって性能が変化します。特にフッ化ビニリデン樹脂は高結晶性樹脂のため顕著で、この樹脂をベースとした分散型塗料は270℃で3~5分焼付けして急性(水冷)したものと、放冷したものでは、急冷した方が塗膜光沢が倍ほど違います。すなわち急冷すると結晶度が小さく外観は光沢面となります。フッ化ビニル樹脂は結晶性が低いので、水冷、放冷による差異は顕著ではありません。これらの樹脂を用いた低フッ素化樹脂塗料の塗膜性能はそれらの性質が表れます。
 低フッ素化樹脂塗料の用途は上記性能が示すように耐候性において極めて優れているため、メンテナンスフリーの屋外塗装、特に海外ではカラー鋼板に用いられています。
 我が国でも高層ビルの塗装に用途開発があり、また耐薬品性が優れていることからドラム内面塗装に期待されます。

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高フッ素化樹脂塗料



4フッ化エチレン樹脂塗料は、4フッ化エチレンの水性ディスパーションを基材とし、これに接着助剤、顔料を加えて焼付け用塗料とします。用途により耐摩耗性、耐クリープ性を強化するためガラスファイバー、二硫化モリブデンなどを配合することがあります。この塗料はスプレーして、370~380℃の高温で焼付けして、均一な塗膜にします。したがって、塗装可能な素材は限定され、亜鉛、スズ、木材などは不可となります。また、素地に対する密着性が極めて悪いので、あらかじめ特殊な下地処理を施すことが必要で、通常ブラストまたはエッチングが行われます。あるいはさらに特殊プライマーを約5~8ミクロンの薄膜吹きつけを行います。焼付け後は急冷されます。
 高フッ化樹脂塗料は耐薬品性、電気的性質、非粘着性、耐熱、耐寒性に優れており、また摩擦係数も低いです。
 用途は主としてその特徴を生かした方面に用いられます。
 (1)耐薬品性から化学工場関係
 (2)電気的性質から、電気、電子部品および計器類
 (3)非粘着性から家庭用厨房器、食品関係
 (4)低摩擦係数のため精密機械、輸送機など

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