フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂ともに融点200℃前後の樹脂で、フッ化ビニリデン樹脂の方が分解温度が高いため塗料用としては使いやすいです。いずれも白粉末の微粒子ポリマー(0.1~1.0ミクロン)で、高沸点溶剤に分散させた分散型塗料で、焼付け乾燥時に高沸点溶剤の溶媒和効果によりポリマーの融点を低下させて、溶融させると同時に高沸点溶剤が蒸発して連続塗膜を作るものになります。塗料の組成としては微粉末ポリマー顔料、高沸点溶媒、希釈剤、安定剤、添加剤からなっています。
(1)高沸点溶媒 ジメチルフタレートジエチルフタレート、ポリエチレンカーボネート
(2)希釈剤 MIBK,DIBKなどのケトン類
(3)安定剤 ポリマーの熱分解を防止するためポリヒドロキシ化合物、リン化合物、硫黄化合物
フッ化ビニル樹脂は結晶性のため結晶化度、結晶の大きさによって性能が変化します。特にフッ化ビニリデン樹脂は高結晶性樹脂のため顕著で、この樹脂をベースとした分散型塗料は270℃で3~5分焼付けして急性(水冷)したものと、放冷したものでは、急冷した方が塗膜光沢が倍ほど違います。すなわち急冷すると結晶度が小さく外観は光沢面となります。フッ化ビニル樹脂は結晶性が低いので、水冷、放冷による差異は顕著ではありません。これらの樹脂を用いた低フッ素化樹脂塗料の塗膜性能はそれらの性質が表れます。
低フッ素化樹脂塗料の用途は上記性能が示すように耐候性において極めて優れているため、メンテナンスフリーの屋外塗装、特に海外ではカラー鋼板に用いられています。
我が国でも高層ビルの塗装に用途開発があり、また耐薬品性が優れていることからドラム内面塗装に期待されます。