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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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自動車塗料における品質向上対応(高機能/高意匠性塗料の展開)



現在、環境配慮型塗料、塗装システムとして水性3WET系工程短縮塗装システムが展開されています。また、高品質が要求される車種では従来からの3C2Bシステムが継続し利用されています。いずれの塗装系でも塗膜としてのさらなる高機能化が要求されています。中塗り塗料においてはその塗膜の主要機能である耐チッピング性の向上、ベース塗料では意匠性の向上、クリヤー塗膜においては擦り傷性、意匠性(艶消しタイプ)の高機能化に向けた取り組みが行われています。

▽中塗り塗料の高機能化
 現在の自動車ボディ用鋼板には多くのGA材が適用されており北欧米などの寒冷地で使用される車体のチッピング対象特定部位には中塗り塗料のみではなくソフトチッププライマー(CPr)が塗装されています。これにより岩塩、砂利などによりチッピング素地剥離(GA剥離→腐食)被害は防止されていますが、CPr非塗装部位において同被害が多発しており車体全体におけるチッピング性能を向上すべくCPrの機能を有した高チッピング中塗りの開発が求められています。チッピング性能と中塗りとしても作業性の最適物性値を明確にして開発検討が継続されています。

▽ベース塗料の高意匠、高機能設計
 最近のベース塗膜に求められる一つの意匠トレンドは高彩度、高FF(フリップ・フロップ)性/高輝度、高干渉の方向にあります。これまでの意匠設計は主に目標意匠に適合した色材種(高輝材、顔料等)を選定し塗装系に活用することを中心に行われてきましたが、最近では色材種の特長をより活かすためにベース塗装工程において積層による発色を利用した開発が活発化しています。第1ベース層と第2ベース層での発色機能の役割を分担させることにより高彩度や高FF塗装設計を可能にしています。例えば第1ベースをメタリック層とし隠ぺい力を付与し、第2ベースは透明性の高い着色顔料のみとすることで得られる高彩度塗装や、第1ベースと第2ベースに異なる高輝材を使用した金属感のある高FF性塗装系が開発されています。これらの塗装系では車両全体としての違和感に配慮した第1ベース層と第2ベース層の色相の調整や車体と異なる塗装工程を経る樹脂部品とのカラーマッチングを考慮した塗装設計が要求されます。
 また、従来とは全く異なる視点から、建築用塗料では一般的な遮熱塗料を自動車用に展開しようとする動きも見られます。低明度色の遮熱塗装系のための要素技術は、赤外線を反射する塗膜という意味で、今後重要になると予測される自動運転のためのセンシング技術に対応する塗装系の開発にも共通するものとなります。

▽クリヤー塗料の高機能化

1.艶消しクリヤー塗料
 ここ数年、艶消しクリヤーによるマット調意匠がカラートレンドとして着目されています。この艶消し設計法としては、無機系粒子の利用が一般的でありますが、最近では機能性を付与した有機粒子を利用し、艶消しと機能付与の両立を目指したクリヤーの開発が進められています。
 艶感は添加される粒子の大きさ、量で設計可能であり、またトップコートでの艶消し設計であり、既存の塗色への展開も可能です。この艶消しクリヤーの最大の課題は補修時のポリッシュによる艶感の均一化でありましたが、工法改善により、この問題は改善されつつあります。欧州では艶消し意匠拡大の方向にあるものの、日本では、これまで、艶消し効果持続性、補修製面での懸念などから、消極的な推進状況にありましたが、今後、意匠の多様化に伴って需要は拡大化する可能性があります。

2.超擦り傷クリヤー塗料
 近年、自動車購入時の塗膜の光沢・鮮鋭性を長期にわたって維持する高耐久塗膜への期待が高まっています。鮮鋭性低下の主因としては洗車時に発生する擦傷が考えられます。この擦傷は洗車ブラシや塗膜表面上のダストの付加により塗膜が変形、破壊することにより生じます。また爪や鍵、木の枝など塗膜より硬いものが接触することでも傷は生じます。一般に洗車により発生する傷は幅が狭く浅い傷でありますが、後者の場合は傷の幅が大きく深い傷になります。
 この傷を低減できる塗料として、耐擦り傷クリヤーが開発されており、その設計コンセプトとしては以下のものがあげられます。
 ①塗膜の架橋点間のソフトセグメントによる弾性回復を利用
 ②弾性回復型塗膜に高硬度粒子を導入することで、弾性回復に加えダストなどの付加物による初期のへこみ量を低減
 ③高硬度膜を弾性回復にすることで、弾性回復に加えダストなどの付加物による初期のへこみ量を低減
 今後、この耐擦り傷機能を付与したクリヤーは初期品質長期維持目的で展開が進むと考えられます。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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