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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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【熱媒体】種類



1.(ビフェニル+ジフェニルエーテル)系

 有機系熱媒体の中では、一番の熱安定性をもちますが、凝固点が12℃と高いために冬季の降温を考えるt、配管等を加熱できる設備にしておく必要があります。また、ジフェニルエーテルの分解によってフェノールを生成することがあり、フェノール単体では低腐食性ではありますが、水分の存在により炭素鋼などの腐食を引き起こすことがあります。
 消防法危険物分類:指定可燃物

2.アルキルビフェニル系

 ビフェニルにアルキル器としてエチル基やイソプロピル基を1~3個付加したもので、アルキル基の数が多くなるほど沸点が上がりますが、脱アルキル化のポイントが多くなるため、耐熱性は低くなります。
 消防法危険物分類:第4類第3石油類

3.水素化トリフェニル系

 トリフェニルを一部水素添加したものであり、水素化の目的はトリフェニルの融点を下げることにあります。沸点が高く、高温液相で使いやすいです。ただし、水添コストの面から価格は、若干高くなります。
 消防法危険物分類:第4類第3石油類

4.ベンジルトルエン系およびジベンジルトルエン系

 ベンゼンの2量体、3量体であり、沸点が高く、高温での使用に適していますが、劣化に伴いアントラセン類の生成が起こるため、降温時に結晶物が出る恐れがあります。
 消防法危険物分類:第4類第3石油類および第4石油類

5.アルキルナフタレン系

 ナフタレンにアルキル基として、メチル基やイソプロピル基を1~2個付加したもので、アルキルビフェニル系と同様にアルキル基の数が多くなるほど沸点は上がりますが、脱アルキル化のポイントが多くなるため、耐熱性は低くなります。
 消防法危険物分類:第4類第3石油類

6.アルキルベンゼン系

 ベンゼンにメチル基、エチル基、イソプロピル基を付加したもので、流動点が低く、(-80℃以下)、低温域での使用にも適しており250℃程度までの気相加熱用として使用されます。
 消防法危険物分類:第4類第2石油類

7.重質アルキルベンゼン系

 アルキル基の炭素数が10以上であり、沸点(382℃)、引火点(206℃)ともに高く、安価です。しかしながら、熱安定性が乏しく、低分子化することによって、引火点の低下を起こします。また、使用条件によっては重合成分が生成し配管内でゲル状になることもあります。
 消防法危険物分類:第4類第4石油類

8.シリコン系

 難燃性で、燃焼熱も低く、化学的にも安定です。単価は高いものの臭気がないため、研究所等ではオイルバスとしてよく使用されます。ただし、空気存在か200℃以上の温度での使用はゲル化しやすいため、避けます。また、再生使用は不可能です。
 消防法危険物分類:第4類第4石油類

9.フッ素系

 きわめて不活性で、不燃性、かつ低温流動性に富みます。300℃程度までは、液相で使用可能です。ただし、非常に高価であるために工業的に使用されることはありません。
 消防法危険物分類:非該当

10.鉱油系熱媒体

 石油会社が販売しており、石油の高沸点留分を精製したものです。パラフィンとナフテンが主成分で、分子構造上での直鎖上の部分が長く、分解が起こりやすく、合成系熱媒体よりも熱安定性が劣ります。低温時の粘度が高く、冬季の設備起動時に注意を要します。ただし、臭気が少ないため、高温での使用でなければ比較的好まれます。
 消防法危険物分類:第4類第3石油類および第4石油類

11.無機系熱媒体

 無機物で構成されるため、きわめて熱安定性は高いです。硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等の塩が使用されます。硝酸カリウムでも308℃の融点であり、取り扱いが難しいです。これを共融による融点降下の現象を利用して改良し、融点142℃(ただし、分解によって融点は上昇する)に下げたものが工業的に使用されます。これは、600℃程度まで使用可能です。ただし、空気との接触により炭酸塩が多量に発生する場合がありますが、この結晶の析出により配管を閉塞させる可能性がありますので、炭酸塩発生時には、早急に入れ替える必要があります。これ以外に、この系の熱媒体で特に注意することは、降温時に系内で固化させない工夫が必要であることと、セルロース系の有機物を混入させないことです。これら硝酸塩は強酸化物質であり、硝酸セルロース(爆薬)を生成します。
 消防法危険物分類:非該当

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【熱媒体】熱媒体とは




 熱媒体とは、文字通り「伝熱のための媒体」であり、広義には恩師・スチームやエチレングリコール等の冷媒を含むことになりますが、ここでは化学装置等の高温(200~400℃)に加熱するための有機系熱媒体を中心に取り上げます。
 工業的な加熱方法として、化石燃料の燃焼熱等を利用した「直接加熱」と、これらの燃焼熱に熱媒体を介した「間接加熱」があります。熱媒体を使用した後者は、局部加熱を防ぎ、均一加熱が可能であり、温度調節が容易な利点があるため、非常に広く用いられています。
 加熱方法は、歴史的には直接加熱から温水・スチームを用いた間接加熱となり、有機系熱媒体の登場となります。最初は、(ビフェニル+ジフェニルエーテル)系熱媒体(融点12℃)であり、耐熱性は非常によいのですが、融点の問題から低温での取り扱いが難しいところがありました。この点を改良するために、その後アルキルナフタレン系やアルキルビフェニル系の熱媒体が登場することになりました。この間に、難燃性、熱安定性の面から抜群の性能をもって広く使用されていたPCB(ポリ塩化ビフェニル)が、カネミ油症事件を契機に使用禁止となりました。これによって、安全性の高い有機系熱媒体の開発に拍車がかかった経緯もあります。また、この事件からPCB以外の熱媒体も、食品分野には使用されることはなくなりましたが、化学工業分野を主として用途は広く、ポリエステル、ポリスチレン等樹脂の重合、化学品の合成、塩素化反応等の各種反応、カレンダーロールの加熱、あるいは熱回収システム、ビルの冷暖房、廃プラスチック油化設備などに用いられます。

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VOCの排出抑制:塗装におけるVOC排出抑制方法




 塗装におけるVOC排出抑制は、VOC使用量低減技術とVOC排出処理技術に大別されます。VOC使用量低減技術でVOC使用量を削減し、少なくなったVOCをVOC排出処理技術で処理することが効率的かつ効果的な排出抑制方法です。

VOC使用量低減技術

 VOC使用量低減は調合室、塗装ブースおよび塗装設備の変更と改善によって実施されます。
 

VOC排出処理技術

 VOC排出処理技術はVOC分解装置(燃焼処理法)とVOC回収装置(吸着、吸収処理法)に大別されます。適用される処理方法は排風量や排ガス中のVOC濃度などによって決定されます。
 

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