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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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白亜化(chalking)




 白亜化とは、塗膜の表面が、主に暴露によって劣化して粉状になる現象で、樹脂が光、水、熱等によって消耗して生じます。
 白亜化の程度は、樹脂の種類、顔料の種類と量、劣化する夾雑物によって異なります。樹脂は結合エネルギーが高く加水分解しにくいものが白亜化しにくいです。顔料は配合量が多いと樹脂の消耗で塗膜から離脱しやすく白亜化を生じやすいです。粒子径の影響もあり、酸化チタンのように励起されてまわりの樹脂の劣化の触媒となることもあります。
 合成樹脂調合ペイントでは3年程度の屋外暴露で白亜化を生じますが、ふっ素樹脂塗料では10年後でも白亜化は見られません。
 白亜化の評価は、JIS K 5600-8-6(1996)「塗膜劣化の評価ー白亜化の等級」に、粘着テープを押し付けて剥がし、これを黒あるいは白の背景面上に置き、標準画像と比べて点数評価する方法が規定されています。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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鉛系さび止め塗料(anticorrosive paints based on lead pigment)




 鉛系さび止め塗料は最も古くから使われているさび止め塗料で、使用する顔料により、JIS K 5623(2002)「亜酸化鉛さび止めペイント」、廃止JIS K 5624(2002)「塩基性クロム酸鉛さび止めペイント」、廃止JIS K 5622(2002)「鉛丹さび止めペイント」があります。さらに、ビヒクルの種類によって、次のように分けて呼びます。
 JIS1種タイプ:ボイル油をビヒクルとしたもの(油性系)
 JIS2種タイプ:フタル酸樹脂ワニスをビヒクルとしたもの(合成樹脂系)
 さび止め効果はJIS1種タイプの方が良好であるといわれていたが、近年の配合技術の向上により、防さび性はJIS2種タイプと同等であるとの報告がなされています。塗膜の乾燥・硬化はJIS2種タイプの方が速いです。
 いずれも成分中の鉛と植物油とが反応して鉛石けんを生成し、この分解生成物が腐食性因子を遮断する鉛の作用を利用したものになります。塗膜と被塗物表面の界面を微アルカリ性に保持し、酸化被膜の欠陥の補修を容易にするなどの防食効果があります。
 亜酸化鉛さび止めペイントは活性に富む亜酸化鉛(Pb2O)を含む塗料で、鉛系顔料に共通のさび止め機構のほかに次式のような反応を行い、これらの反応生成物が鉄面を腐食し難い状態に保持する作用を有するとされています。
 Pb2O + 1/2O2 → 2PbO
 Pb2O + H2O →Pb(OH)2 + Pb
 塩基性クロム酸鉛さび止めはPbO・PbCrO4の組成を有するもので鉛系さび止め顔料に共通のさび止め機構による防食効果を発揮します。クロム酸とPbOの比率によりある程度性質が異なります。
 シアナミド鉛さび止めペイントはPbCN2の組成を有する含量を含む塗料で、第二次大戦中鉛資源節約のためドイツで開発されたものになります。鉛系さび止め共通のさび止め機構のほかにアンモニアを遊離して鉄面をアルカリに保持します。我が国では昭和30年代に使用が開始されましたが、鋼構造物のさび止め塗装などに用いられています。
 鉛丹ペイントは鉛丹(Pb3O4)をさび止め顔料の主成分としますが多少PbOを含んでいます。鋼構造物用さび止めペイントとして最も長い実績を有します。さび止め機構は先に述べた鉛系共通の機構によります。鉛丹ペイントは防食性能は優れますが、塗膜の乾燥と硬化が遅いという欠点を有します。したがって、屋外の塗替え塗装のように、速やかに塗膜としての機能を発揮する必要がある用途には不向きです。しかし、橋梁、鉄骨など新設鋼構造物の塗装に用いられています。
 また、主として亜鉛めっき面用に用いられるものとして鉛酸カルシウムさび止めペイントがあります。
 近年に実施されてJISの統廃合により、環境への負荷の高い製品のJIS廃止(JIS K 5622、JIS K 5624)が行われ、暫定継続規格とされた規格(JIS K 5623、JIS K 5625、 JIS K 5629)も、製品動向を調査し、廃止、継続、あるいは問題点を解決した規格への修正などが行われる予定です。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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主要なさび止め塗料:上塗り塗料




 上塗りは外部の環境に直接さらされるので、使用条件により耐候性・耐水性など環境条件に耐える性能が必要です。腐食性物質の遮断機能も優れていることが望ましいです。美観の保持が必要な場合には上塗り塗膜が主要な役割を果たすことになるので、保色性。光沢保持性など外観の維持にも優れている必要があります。下塗りあるいは中塗りとの付着性が良好でなければならず、これらと同一系統のビヒクルから成る塗料であるのが普通ですが、上塗りの要求性能によっては異なる系統の塗料が使用されることもあります。
 上塗りの色調はなるべく堅牢なものを選ぶことが望ましいです。
 色の堅牢度は使用顔料の種類によるところが大きいです。近い色調でも堅牢度の高い顔料と、そうでない顔料では保色性に大きく差を生じます。一般に鮮やかな色調よりはやや濁った色調の方が堅牢度が高く、変色しにくいといえます。
 油性さび止めペイントの上塗りには長油性フタル酸樹脂塗料が広く用いられています。
 塩化ゴム系塗料は塩素化樹脂、変性樹脂、可塑剤、安定剤などから成りますが、耐候性は変性樹脂の種類と量によるところが大きいです。変性樹脂には耐候性の良いアクリル変性アルキド樹脂などが用いられますが、あまり量を多く用いると光沢や作業性は向上しますが、塩化ゴム系塗料の特長である耐薬品性や層間付着性が低下するので好ましくありません。
 高度な防食性能を有する塗装系として、エポキシ樹脂塗料とウレタン樹脂塗料の組合せが使用されます。エポキシ樹脂塗料は日光の作用で白亜化し易いので下塗りや中塗りとして用い、耐候性の良いウレタン樹脂塗料の上塗りを組合わせるものです。
 ウレタン樹脂塗料の硬化剤であるイソシアネート化合物には黄変して耐候性が劣るものがありますので、この目的には耐候性の良い無黄変形の硬化剤を用いることが必要です。
 最近では、ポリウレタン樹脂塗料に比べてさらに耐候性の良いふっ素樹脂塗料が大型の構造物に塗装されています。特に海上にかかる長大橋は、最近ではそのほとんどがふっ素樹脂塗料で仕上げられています。
 また、アクリルシリコン樹脂塗料(シリコン変性アクリル樹脂塗料)も徐々に増えつつあります。
 中塗りとしてよく知られているMIO塗料はヨーロッパでは上塗りとしてよく使用されています。耐候性が良く上塗りとして適当な性能を有していますが、わが国ではMIOの仕上がり感があまり好まれていないようで実績は少ないです。
 アルミニウムペイントも上塗りとして用いられます。日光を反射するので、耐候性が良く、りん片状のアルミニウム粉が塗膜面に平行に並ぶこと(リーフィング)によって塗膜の遮断機能が向上することはMIOの場合と同様です。

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