1.(ビフェニル+ジフェニルエーテル)系
有機系熱媒体の中では、一番の熱安定性をもちますが、凝固点が12℃と高いために冬季の降温を考えるt、配管等を加熱できる設備にしておく必要があります。また、ジフェニルエーテルの分解によってフェノールを生成することがあり、フェノール単体では低腐食性ではありますが、水分の存在により炭素鋼などの腐食を引き起こすことがあります。
消防法危険物分類:指定可燃物2.アルキルビフェニル系
ビフェニルにアルキル器としてエチル基やイソプロピル基を1~3個付加したもので、アルキル基の数が多くなるほど沸点が上がりますが、脱アルキル化のポイントが多くなるため、耐熱性は低くなります。
消防法危険物分類:第4類第3石油類3.水素化トリフェニル系
トリフェニルを一部水素添加したものであり、水素化の目的はトリフェニルの融点を下げることにあります。沸点が高く、高温液相で使いやすいです。ただし、水添コストの面から価格は、若干高くなります。
消防法危険物分類:第4類第3石油類4.ベンジルトルエン系およびジベンジルトルエン系
ベンゼンの2量体、3量体であり、沸点が高く、高温での使用に適していますが、劣化に伴いアントラセン類の生成が起こるため、降温時に結晶物が出る恐れがあります。
消防法危険物分類:第4類第3石油類および第4石油類5.アルキルナフタレン系
ナフタレンにアルキル基として、メチル基やイソプロピル基を1~2個付加したもので、アルキルビフェニル系と同様にアルキル基の数が多くなるほど沸点は上がりますが、脱アルキル化のポイントが多くなるため、耐熱性は低くなります。
消防法危険物分類:第4類第3石油類6.アルキルベンゼン系
ベンゼンにメチル基、エチル基、イソプロピル基を付加したもので、流動点が低く、(-80℃以下)、低温域での使用にも適しており250℃程度までの気相加熱用として使用されます。
消防法危険物分類:第4類第2石油類7.重質アルキルベンゼン系
アルキル基の炭素数が10以上であり、沸点(382℃)、引火点(206℃)ともに高く、安価です。しかしながら、熱安定性が乏しく、低分子化することによって、引火点の低下を起こします。また、使用条件によっては重合成分が生成し配管内でゲル状になることもあります。
消防法危険物分類:第4類第4石油類8.シリコン系
難燃性で、燃焼熱も低く、化学的にも安定です。単価は高いものの臭気がないため、研究所等ではオイルバスとしてよく使用されます。ただし、空気存在か200℃以上の温度での使用はゲル化しやすいため、避けます。また、再生使用は不可能です。
消防法危険物分類:第4類第4石油類9.フッ素系
きわめて不活性で、不燃性、かつ低温流動性に富みます。300℃程度までは、液相で使用可能です。ただし、非常に高価であるために工業的に使用されることはありません。
消防法危険物分類:非該当10.鉱油系熱媒体
石油会社が販売しており、石油の高沸点留分を精製したものです。パラフィンとナフテンが主成分で、分子構造上での直鎖上の部分が長く、分解が起こりやすく、合成系熱媒体よりも熱安定性が劣ります。低温時の粘度が高く、冬季の設備起動時に注意を要します。ただし、臭気が少ないため、高温での使用でなければ比較的好まれます。
消防法危険物分類:第4類第3石油類および第4石油類11.無機系熱媒体
無機物で構成されるため、きわめて熱安定性は高いです。硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等の塩が使用されます。硝酸カリウムでも308℃の融点であり、取り扱いが難しいです。これを共融による融点降下の現象を利用して改良し、融点142℃(ただし、分解によって融点は上昇する)に下げたものが工業的に使用されます。これは、600℃程度まで使用可能です。ただし、空気との接触により炭酸塩が多量に発生する場合がありますが、この結晶の析出により配管を閉塞させる可能性がありますので、炭酸塩発生時には、早急に入れ替える必要があります。これ以外に、この系の熱媒体で特に注意することは、降温時に系内で固化させない工夫が必要であることと、セルロース系の有機物を混入させないことです。これら硝酸塩は強酸化物質であり、硝酸セルロース(爆薬)を生成します。
消防法危険物分類:非該当