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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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溶剤型塗料との違い(粉体塗料)



塗装膜厚(耐食性、隠ぺい性)

 粉体塗料の塗装膜厚は液体塗料に比べて厚くする必要があります。一部に細粒化による薄膜塗装も実施されていますが、着色用途が主体となります。また溶剤型塗料では耐食性向上法として膜厚を2倍にするなどの手法が用いられますが、粉体塗料では効果が薄いです。プライマーなどを下塗りするか、上塗り溶剤塗装をするなどの手法が用いられています。

焼付変色対策(耐熱顔料や酸化防止剤などの使用)

 粉体塗料の焼付けは通常180℃✕20分から200℃✕10分と、溶剤型塗料の130~150℃に比べて温度は高く時間も長いです。溶剤型塗料では使用できた顔料も耐熱性不足で使用できないこともあり、粉体塗料では耐熱性に優れた顔料を使用することが多いです。このため溶剤型塗料を粉体塗料に変更する際、使用する顔料の違いから溶剤型塗料の標準板に対してメタメリが発生することがあります。また200℃を超える炉温設定での焼付けは樹脂なども黄変しやすくなります。このため粉体塗料では赤青緑など高彩度の塗色や白色度の高い塗色では耐熱処方が必要となり、通常の塗色に比べて高価になる傾向があります。

塗膜の硬化状態の確認

 粉体塗料では塗膜の硬化状態は、鉛筆硬度試験など塗膜の硬さでは確認できません。これは粉体塗料が常温で固体の塗料であるためで、未硬化塗膜でも硬度は高くなります。粉体塗膜の硬化状態の確認には溶剤ラビング試験が用いられます。添付されている色調見本のロット板などと比較して同程度の艶引け状態であるかを確認します。ちなみにポリエステル樹脂系粉体塗膜は溶剤型塗膜に比べて耐溶剤性は強くないことがい多いので注意が必要です。塗膜を溶剤で吹く必要がある際にはイソプロピルアルコールなどの弱溶剤で実施することが望ましいです。

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熱硬化性粉体塗膜の特徴




 粉体塗料は常温で固体である必要性から、使用する樹脂のガラス転移温度(Tg)は高く、溶剤型塗料で使用される樹脂と比較して主鎖は固くなる傾向があります。このため塗膜の柔軟性を得るために架橋間分子量が大きい設計となります。一般的な熱硬化性溶剤型塗料の塗膜の架橋分子間は数百から千程度にあるのに対して、粉体塗料塗膜のそれは数千前後と大きくなり、網目の面積として考えると粉体塗膜のイメージが捉えやすくなります。このため粉体塗料で十分な耐食性を得るためには40~80ミクロンなどとメーカーが推奨する膜厚が必要となります。架橋間分子量を液体塗料並みに小さくする設計も不可能ではありませんが、樹脂のTgが高いことからガラスのような硬脆い塗膜となってしまいます。また、溶剤型塗料では耐溶剤性の向上策として架橋密度を高めて緻密な膜にする手法を用いることが出来ますが、粉体塗料では樹脂の主鎖自身を耐溶剤性に優れた組成にする手法がとられており、このことがポリエステル樹脂系粉体塗料の耐溶剤性と耐候性を共に高められない理由の一つとなっています。さらに粉体塗料の製造工程では、顔料は溶融混練機で樹脂中に練り混ぜられますが、液体塗料における"分散"にはほど遠い状態です。このため、顔料濃度には限りがあり、溶剤型塗料に比べて同じ膜厚での隠ぺい性は劣る傾向があります。

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粉体塗装のメリット




 粉体塗装の短所として特に留意する点は、液体塗料のようにろ過によってゴミブツなどの異物を除去できないこと、塗装現場で塗料の手直しが出来ないことが挙げられます。塗装ラインで不具合が発生した時の対処方法の一つとして、タンク内の塗料を入れ替えて新粉だけで塗装したり、別のロットの塗料に入れ替えて確認したりする手法も用いられます。

 粉体塗装採用の利点として最も強調されるのは次の特長による塗装の合理化です。
 ①塗装の自動化が容易で省力化が図りやすい。
 ②塗料の使用効率が高く、ドライブースでの塗装と併せ、廃棄物を削減できる。
 ③1年を通じて色調・品質の安定した塗膜が得られる。

 VOC対策だけでなく、省力化や廃棄物削減、塗装環境の改善が粉体塗装の大きなメリットです。環境対応型塗料は水系と粉体と言われて久しいですが、特にライン管理や塗装廃棄物処理を考えた場合には、粉体塗料は水系塗料に比べて大きなメリットを有しています。

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