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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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【大気概論】大気汚染物質の人体への影響



 大気汚染物質の人体への影響は、一般に急性影響と慢性影響に分けられます。
 急性影響は、例えば気温逆転のような気象条件化で汚染物質の濃度が通常の濃度より高くなったとき、数時間から数日間の曝露時間で現れます。
 慢性影響は、曝露期間でみると通常1年以上にわたるときにあらわれ、慢性肺疾患の成因に大気汚染がどの程度関与するかが問題となります。吸入される空気の中に気道や肺胞に悪影響を及ぼすような汚染物質が混入すると、汚染物質への曝露量の増加にともない、健康状態から疾患との関連が明確でない生理・生化学的変化がみられる半健康状態に、さらに急性や慢性曝露の結果、呼吸器疾患があらわれ、さらに曝露量が増加すると死亡に至ることもあります。
 人の健康に影響を及ぼす大気汚染物質の中で最も重要なものは、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、光化学オキシダントの主成分であるオゾンや一酸化炭素(CO)などのガス状物質、および硫酸炎や硝酸塩など、また石綿などを含む浮遊粒子状物質であります。これらはCOを除いて一般に気道の粘膜刺激作用があります。多くの気道系疾病の中でも大気汚染との関連で注目されてきた疾病はぜん息性気管支炎、慢性気管支炎、気管支ぜん息および肺気腫であります。大気汚染の人体への影響は表のとおりです。
 汚染物質の肺に与える影響として、SO2などは水に対する溶解性が高く、気道内は通常100%加湿されていますので、鼻腔、咽頭、喉頭、気管など主に上部気道壁による摂取率が高くなり上部気道への影響が強く認められます。これに対して、NO2やオゾンは、水に対する溶解性が緩慢なため気道の深部に到達しやすく、細気管支や肺胞などの下部気道への影響が強くみられます。
 粒子状物質の影響は、濃度以外に粒子径や粒子の化学的性質で決まります。また、粒子の気道への沈着率は粒子径と呼吸数によっても異なります。オゾン、NO2、SO2などの気道刺激性ガスは、ある濃度以上になると線毛運動を抑制したり、線毛を脱落させたりして、気道の清浄機構を障害します。線毛のない肺胞領域に沈着した粒子は、肺胞内の貪食細胞(細菌や異物などを摂取する能力のある細胞の総称で、小食細胞(多核白血球)と大食細胞(マクロファージともいわれる組織球や単球)に大別される)に捕食されたり、残留粒子として肺組織内に侵入し、じん肺などの病変を起こしたりします。NO2やオゾンは粘膜刺激作用以外に生化学的変化を引き起こすことが知られており、オゾンは染色体異常や赤血球の老化を引き起こすことが報告されています。

表.大気汚染の人体への影響
急性影響(短期間曝露)慢性影響(長期間曝露)
●全死因死亡率(非事故性)特に呼吸器及び
心血管系疾患による日死亡率の増加
●呼吸器系及び血管系疾患の病状の増悪、
その結果として
 ・治療薬物の使用増加
 ・診療所や救急外来受診及び入院の増加
 ・学校や仕事を休む
 ・日常生活の活動制限
●眼や気道の急性刺激症状
 ・眼の痛みや涙など
 ・咳、痰、喘鳴など
●肺機能の変化
●心血管系及び呼吸器系疾患による死亡
率の増加

●慢性呼吸器疾患(喘息や慢性閉塞性肺
疾患など)の発生率や有病率の増加

●心血管系疾患の進展

●肺がんによる死亡率の増加との関連

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【大気概論】主要な生産設備から排出される大気汚染物質



 生産設備からの大気汚染物質の排出は、一般的には煙突などの排出口から排出されるものがほとんどでありますが、排出口を持たず、窓、開放部から排出される場合もあります。各発生施設とその排出物を表に示します。また、主な発生施設の特徴は次のとおりになります。
 ボイラーから発生する汚染物質は燃料の種類に大きく依存し、石炭→重油→灯油→都市ガスの順にばいじん濃度、二酸化硫黄(SO2)濃度は低減します。ボイラーは多くの事業所で使用されており、固定発生源の中で圧倒的に数が多いです。
 ごみ焼却炉は、一般的には家庭より排出される廃棄物を焼却する一般廃棄物焼却炉と事業系の廃棄物を焼却する産業廃棄物焼却炉に大別されます。
 汚泥焼却炉は、排水処理に伴い発生する余剰汚泥を焼却する炉です。水分が多いため重油などの補助燃料が必要で、汚泥中に窒素分が多く一酸化二窒素(N2O)が比較的高濃度で排出されます。
 小型焼却炉は炉温が低く、高温での持続時間も短いことから不完全燃焼となる場合が多くダイオキシン類の発生が多いです。
 溶鉱炉は、鉱石を還元して金属(鉄、銅、鉛など)を精錬する炉です。炉は密閉式で、鉄の場合の発生ガスは一酸化炭素20~22%、水素2~4%を含んでおり高炉ガスとして燃料に利用されます。
 コークス炉は多数の炭化室と燃焼室を交互に並べ、高炉ガスとコークス炉ガスを燃料として炭化室の石炭を加熱乾留します。乾留により発生するガスがコークス炉ガスで、水素50~54%、メタン30~33%を含んでいます。
 電気炉は廃材の鉄などを炉内に投入し、炭素電極を通じてアーク放電させることにより鉄を融かしてインゴットをつくります。電気が通る瞬間に高濃度のばいじんおよび窒素酸化物が発生します。
 セメントキルンは回転型の炉で、1450℃という高温で原料を焼成するため窒素酸化物(NOx)濃度が高いです。
 塗装施設で使われる塗料には顔料、樹脂、溶剤などが含まれますが、塗料乾燥時に溶剤が大気中に放出されます。印刷施設で使われるインキの溶剤は塗装施設で使われるものに類似していますが、水性化が進んでいるインキではアルコール類が排出されます。
 洗浄施設はめっきなどの金属表面処理を行う工程で、有機塩素系の脱脂剤が使われています。大事業所においては回収装置を付設しているものもありますが、多くの施設においては排ガス処理装置は付設されていません。

表.大気汚染物質の発生施設と主な排出物
発生施設排ガス中の主な大気汚染物質
ボイラーばいじん、二酸化硫黄(SO2、窒素酸化物(NOx)、
一酸化炭素(CO)、炭化水素類
ごみ焼却炉ばいじん、窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)
一酸化炭素(CO)、炭化水素類、ダイオキシン類
汚泥焼却炉ばいじん、窒素酸化物(NOx)、炭化水素類。一酸化炭素(CO)、
一酸化二窒素(N2O)
産業廃棄物焼却炉ばいじん、二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOx)、
一酸化炭素(CO)、炭化水素類、塩化水素(HCl)、ダイオキシン類
小型焼却炉ばいじん、一酸化炭素(CO)、炭化水素類、ダイオキシン類
溶鉱炉一酸化炭素(CO)、水素(H2
コークス炉ばいじん、水素(H2)、メタン(CH4)、二酸化硫黄(SO2)、
一酸化炭素(CO)、揮発性有機化合物(ベンゼン等)
電気炉ばいじん、窒素酸化物(NOx)
セメントキルンばいじん、窒素酸化物(NOx)
塗装施設トルエンキシレン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン等の
有機溶剤
印刷施設トルエン、キシレン、酢酸エチル等の有機溶剤、
イソプロピルアルコール(水性インキ)
洗浄施設ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の
有機塩素系溶剤
給油所燃料ガス
クリーニング施設テトラクロロエチレン、n-デカン、石油系ターベン

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【大気概論】大気汚染物質の発生源



 大気中に排出され、ガス上、ミスト状、粒子状で、存在する汚染物質の発生源は自然発生源と人為発生源に大別されます。
 自然発生源としては、二酸化硫黄(SO2)発生源として火山(硫化水素として放出される割合が多いですが、硫化水素は大気中でSO2に変換されます)、窒素酸化物(NOx)発生源としてとして雷や土壌(細菌による有機物の分解で生成する)、メタン発生源として水田、湿地、一酸化二窒素(N2O)発生源として湿潤な森林、海洋などが代表的な例になります。
 人為発生源としては、ボイラー、加熱炉などの熱エネルギーの発生を目的とする燃焼炉や自動車、航空機、船舶の内燃機関などの燃焼過程から硫黄酸化物(SOx)、NOx、ばいじん、一酸化炭素などが発生し、そのほかに炭化水素が発生する場合もあります。また、金属の精錬、加工における焙焼、焼結などの工程では鉱石中の銅、鉛、亜鉛、カドミウム、水銀などが揮散します。硫化鉱の焙焼ではSOxが大量に発生するほか、NOx、ばいじんなども発生します。粉粒体の処理では、原材料の粉砕、選別、運搬、滞積などに伴い粉じんが発生します。コークス炉からは粉じんのほかに、アンモニア、シアン、フェノールなどが発生します。液体燃料の精製過程や溶剤、塗料の使用などによって揮発性有機化合物(VOC)が発生します。
 有害ガスの漏洩は不完全な対策や不注意な処理などから生じることが多いです。殺虫剤、除草剤など農薬の散布も発生源となり、農業は地球温暖化物質のメタン、N2Oの発生源となります。
 また、大気中で二次的に発生する汚染物質があります。浮遊粒子状物質は、発生源から排出された時点で粒子となっている一次粒子と、排出された時点ではガス状であったものが、大気中における光化学反応などにより粒子化する二次粒子とに分類されます。一次粒子には、工場・事業場から排出されるばいじん、粉じん、自動車等から排出される粒子状物質などがあります。土壌の巻き上げ粒子や海塩粒子など自然起源のものも含まれます。二次粒子は。工場・事業場、自動車などから排出されるVOC、硫黄酸化物、窒素酸化物などが原因物質となります。火山などから排出される硫黄酸化物など自然起源のものもあります。
 光化学オキシダントは、大気中のVOCと窒素酸化物の混合系が、太陽光(特に紫外線)照射による光化学反応を通じて生成されます。


大気中に排出され、ガス状、ミスト状、粒子状で存在する汚染物質の発生源は
自然発生源と②人為的発生源に大別
自然発生源
●SO2:火山
●NOx:雷、土壌
●CH4:水田、湿地
●N2O:湿潤な森林、海洋

人為発生源
●ボイラー、加熱炉、自動車など
●金属の精錬など
●粉粒体の処理など→粉じん
●液体燃料の精製、溶剤、塗装など→VOC
●有害ガスの漏洩、農薬の散布


表.種類別のばい煙発生施設数
(平成21年末現在)
ボイラー64.1%
ディーゼル機関15.4%
ガスタービン 4.0%
金属加熱炉 3.5%
乾燥炉 3.3%
廃棄物焼却炉 2.7%
金属溶解炉 1.9%
その他 3.4%

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