大気中に排出され、ガス上、ミスト状、粒子状で、存在する汚染物質の発生源は自然発生源と人為発生源に大別されます。
自然発生源としては、二酸化硫黄(SO
2)発生源として火山(硫化水素として放出される割合が多いですが、硫化水素は大気中でSO
2に変換されます)、窒素酸化物(NOx)発生源としてとして雷や土壌(細菌による有機物の分解で生成する)、メタン発生源として水田、湿地、一酸化二窒素(N
2O)発生源として湿潤な森林、海洋などが代表的な例になります。
人為発生源としては、ボイラー、加熱炉などの熱エネルギーの発生を目的とする燃焼炉や自動車、航空機、船舶の内燃機関などの燃焼過程から硫黄酸化物(SOx)、NOx、ばいじん、一酸化炭素などが発生し、そのほかに炭化水素が発生する場合もあります。また、金属の精錬、加工における焙焼、焼結などの工程では鉱石中の銅、鉛、亜鉛、カドミウム、水銀などが揮散します。硫化鉱の焙焼ではSOxが大量に発生するほか、NOx、ばいじんなども発生します。粉粒体の処理では、原材料の粉砕、選別、運搬、滞積などに伴い粉じんが発生します。コークス炉からは粉じんのほかに、アンモニア、シアン、フェノールなどが発生します。液体燃料の精製過程や溶剤、塗料の使用などによって揮発性有機化合物(VOC)が発生します。
有害ガスの漏洩は不完全な対策や不注意な処理などから生じることが多いです。殺虫剤、除草剤など農薬の散布も発生源となり、農業は地球温暖化物質のメタン、N
2Oの発生源となります。
また、大気中で二次的に発生する汚染物質があります。浮遊粒子状物質は、発生源から排出された時点で粒子となっている一次粒子と、排出された時点ではガス状であったものが、大気中における光化学反応などにより粒子化する二次粒子とに分類されます。一次粒子には、工場・事業場から排出されるばいじん、粉じん、自動車等から排出される粒子状物質などがあります。土壌の巻き上げ粒子や海塩粒子など自然起源のものも含まれます。二次粒子は。工場・事業場、自動車などから排出されるVOC、硫黄酸化物、窒素酸化物などが原因物質となります。火山などから排出される硫黄酸化物など自然起源のものもあります。
光化学オキシダントは、大気中のVOCと窒素酸化物の混合系が、太陽光(特に紫外線)照射による光化学反応を通じて生成されます。
大気中に排出され、ガス状、ミスト状、粒子状で存在する汚染物質の発生源は
①自然発生源と②人為的発生源に大別
自然発生源●SO
2:火山
●NOx:雷、土壌
●CH
4:水田、湿地
●N
2O:湿潤な森林、海洋
人為発生源●ボイラー、加熱炉、自動車など
●金属の精錬など
●粉粒体の処理など→粉じん
●液体燃料の精製、溶剤、塗装など→VOC
●有害ガスの漏洩、農薬の散布
表.種類別のばい煙発生施設数
(平成21年末現在)
ボイラー | 64.1% |
ディーゼル機関 | 15.4% |
ガスタービン | 4.0% |
金属加熱炉 | 3.5% |
乾燥炉 | 3.3% |
廃棄物焼却炉 | 2.7% |
金属溶解炉 | 1.9% |
その他 | 3.4% |