大気汚染は、工場などの固定発生源や自動車などの移動発生源から排出される硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、ばいじん、有害物質、粉じん、一酸化炭素(CO)、炭化水素などによってひき起こされます。
大気汚染の2大汚染物質の一つである硫黄酸化物については、そのほとんどが工場から排出されるものであり、もう一つの窒素酸化物については工場と並び自動車が大きな発生源でありますが、ビルや家庭などからの排出も無視できない量であり、対策を難しくしています。
大気汚染物質はコンビナートや工業団地の周辺、住宅地に設置している一般環境大気測定局(一般局)と道路の周辺に設置されている自動車排出ガス測定局(自排局)で継続してモニタリングされています。
硫黄酸化物は硫黄を含んだ化石燃料の燃焼により発生し、その大部分は二酸化硫黄(SO2)であり環境基準もSO2で設定されています。環境濃度は昭和45,46年の約1/7となっており、近年では横ばい傾向にあります。窒素酸化物は、窒素を含んだ化石燃料の燃焼により発生するフューエルNOxと高温燃焼時に空気中の窒素が酸素と反応して生成するサーマルNOxとがあります。燃焼直後の排ガス中の90~95%はNOでありますが直ちに酸化されて二酸化窒素(NO2)になります。毒性もNO2が強いため環境基準はNO2で設定されています。NOxの環境濃度は緩やかな改善傾向にあります。
一酸化炭素がすべての測定局で環境基準を達成している反面、光化学オキシダントの2010年度の環境基準達成率は一般局、自排局ともに0局と極めて低くなっています。浮遊粒子状物質の環境基準達成率は、一般局、自排局とも100%に及ばないですが、環境中の濃度は近年横ばいから緩やかな改善傾向にあります。