塗料の成分が顔料を除いた油、樹脂、溶剤などのほとんどのものが可燃性または引火性の物質です。特に溶剤は引火点の低いものが多く用いられ、常に引火しやすい状態にあります。また溶剤の蒸気は空気よりも重いため、低い方へ流れ停滞します。
塗料の中には有害な成分も少なくありません。特に有機溶剤、希釈剤は毒性を持ち、取り扱い方法を誤ると作業員に種々の障害を与えます。大部分の溶剤、希釈剤並びにその蒸気は種々の有害作用を示し、一時に多量に吸入したり、溶剤用が皮膚に触れたりするときは急性中毒を引き起こしますので、多くの人が注意しますが、低濃度の蒸気を吸入した場合は、
①見た目には有害性がわからない。
②有害物が呼吸器や皮膚から体内に入るとき、ほとんど傷みや刺激がない。
③健康障害が明らかになるまで長い時間がかかる。
などのことが多いので有害であるという意識が薄く、材料の取り扱いが安易になりやすいのです。
現場に搬入した塗装材料、使いかけまたは余った材料の保管の際に洩れた蒸気がたまり、火気があればもちろん火花などによって爆発火災の危険があります。通常塗膜要素に含有されている有害物は塗料が塗布され、乾燥して硬化皮膜を形成すればその有害性はなくなりますが、乾燥硬化するまでに皮膚や眼などに付着したり、吸入すると障害が起こります。