集じん装置の集じん率を支配する諸因子のうち、最も大きな因子はダストの粒径分布です。各種集じん装置の一般的な部分集じん率曲線は図のとおりになります。図からわかるように、集じん率に最も大きな影響を与えるのはダストの粒径分布です。
集じん装置の部分集じん率からダストの大部分が数μm以上の場合には、遠心力集じん装置で十分であり、数μm以下が主体となる場合は、洗浄集じん装置、ろ過集じん装置、電気集じん装置などの中から条件に合うものを選択することになります。各種集じん装置の実用範囲は表のとおりで、各集じん装置の特徴は次のとおりになります。
重力集じん装置は、流速が小さいほど細かいダストが捕集できますが、装置が大きくなり設備費が高くなります。
慣性力集じん装置には、煙道内に衝突板を設置して粒子を捕集する衝突式のものと、含じんガス流の方向転換によって粒子を捕集する反転式のものがあります。表のルーバー形は通常煙道に挿入して使用されますので、排ガス流速に近い速度での集じんとなります。
遠心力集じん装置は、一般に流速が大きいほど集じん率は高くなりますが、限界を超えるとかえって集じん率は低下してしまいます。一方、圧力損失は流速の2乗で増加するので流速が大きいほど運転費がかさむことになります。通常10m/s前後の流速で使用されます。
洗浄集じん装置のうち、充填塔やスプレー塔は流速が小さいほど集じん率が高くなり、一般に1m/s以下で使用されます。一方、ベンチュリースクラバーやジェットスクラバーでは、流速が大きいほど集じん率は高くなりますが、ガス流速が桁違いに大きく、その分圧力損失も大きくなるため、運転費が著しくかさみます。
隔壁形集じん装置のバグフィルターは、流速が小さいほど細かいダストが捕集でき、また、電気集じん装置と並んで高い集じん率が得られますが、他の集じん装置と比較して流速が桁違いに小さいため、ガス流量が多い場合には装置が大型になります。
電気集じん装置は、乾式では集じん電極に付着したダストの再飛散、ガス流による同伴を、湿式では、集じん電極の表面に形成された水膜のガス流による波立ちを考慮しての運転になります。このため、一般にガス流速は3m/s程度に抑えられています。火力発電所など、粉じん濃度が高く、排ガス流量が多い設備での使用が多く大型の設備が多いです。
図.各種集じん装置の部分集じん率
表.各種集じん装置の実用範囲
分類 | 形式 | 取り扱われる 粒度(μm) | 圧力損失 (kPa) | 集じん率 (%) | 設備費 | 運転費 |
重力集じん装置 | 沈降室 | 1000~50 | 0.1~0.15 | 40~60 | 小 | 小 |
慣性力集じん装置 | ルーバー形 | 100~10 | 0.3~0.7 | 50~70 | 小 | 小 |
遠心力集じん装置 | サイクロン | 100~3 | 0.5~1.5 | 85~95 | 中 | 中 |
洗浄集じん装置 | ベンチュリースクラバー | 100~0.1 | 3.0~9.0 | 80~95 | 中 | 大 |
隔壁形式集じん装置 | バグフィルター | 20~0.05 | 1.0~2.0 | 90~99.9 | 中以上 | 中以上 |
電気集じん装置 | | 20~0.05 | 0.1~0.2 | 90~99.9 | 大 | 小~中 |