発生源からのばい煙または汚染空気の処理を経済的に行うには、まず発生ガスをできるだけ高濃度の状態で捕捉し、ダストの集じん、有害ガスの除去を行う必要があります。集煙の方法は次の二つの方法があります。
(1)直接吸引法
密閉形のばい煙発生施設では、ばい煙は炉体から直接吸引され、煙道またはダクトを経て煙突から排出されます。炉体、ダクト(煙道)、ダクトエキスパンジョン、その他から空気の漏れ込みがあると、処理ガス量が増加して集じん装置は大きくなり不経済になりますが、直接吸引法では発生ガス量の2倍を超えることは極めてまれです。
(2)間接吸引法
操業上直接吸引のできない開放形の発生施設では、ばい煙または汚染空気をフードによって集煙して処理することになります。したがって、フードによる発生ダストやガスの捕捉が不十分な場合、作業環境を悪くすることになります。
一方、余分な空気の吸引量が多くなると大きな集じん装置が必要で、開放炉での間接吸引では、処理ガス量は発生ガス量の10倍以上となっています。
一般に直接吸引法が望ましいですが、発生源の形状や作業条件との関係で、多くの場合にフードを用いた間接吸引法が採用されています。フードは、形状、設置場所、吸引の方向、ダストの受け方などによって多種多様でありますが、囲い形、ブース形、外付け形、レシーバー形に大別できます。
囲い形フードは、ばいじんや粉じんの発生源を全面的に覆ったもので、発生ガスの漏えいや外気の吸い込みが少なく、ばい煙などは最も高濃度の状態で集煙することができます。
ブース形フードは、作業上必要な一面を開口にしています。この開口部から逸出するダストは開口部の吸い込み気流によって抑制されることになります。処理ガス量は、開口部における吸い込み空気量だけ囲い形よりも多くなります。
外付け形フードは、構造上や作業上、発生源を全く覆うことができない場合に採用され、側方形や下方形などがあります。フードが発生源に対して独立して設けられ、発生ガスに比較して余分な空気を多量に吸い込むことになります。
レシーバー形フードは、金属溶解炉などでは熱の上昇気流を、グラインダーなどではダストの慣性力の方向に沿って吸い込むようになっています。