気流中に含まれる固体粒子の分離操作は一般に集じんと呼ばれ、従来から化学工業を中心に固-気系機械的分離操作として活用されてきました。有価物質の回収、有害物質の除去などの目的で気流中の固体粒子を分離する装置を集じん装置といいます。集じん操作の対象となる固体粒子はダストと呼び、1μm以下のフュームも含めてダストという場合も多いです。
一方、液体粒子も集じんの対象となり、10μm以下の液体粒子をミストと呼び、その除去のための装置をミスト分離装置または気液分離器、あるいはデミスターと呼んでいます。
集じん装置によってダストを分離捕集する場合、処理ガスの特性とともに、ダストの特性に応じて装置の種類を選定し、仕様を決定し、操作条件を決めます。ダストの種類には、粉細やふるい分けなどの機械的工程から発生するものと、燃料の燃焼過程から発生する煙、および焼結、加熱、溶融、溶接など固体が蒸発し、これが凝縮して生成するヒュームとがあります。こうしたダストの生成過程により、また使用する原料によってその物理的・化学的性質が異なります。
ダストの特性としては、粒子そのものの密度、粒子形状、表面の粗さ、かさ密度、比表面積、摩擦角、付着性や親水性、毒性、爆発性などが挙げられます。中でも、ダストの特性として常に検討の対象とされるのは、濃度と粒径分布です。そして、これらはダストの種類、すなわち発生源の施設によってほぼ定まります。
大気汚染防止法で排出規制の対象となるばいじん濃度は標準状態(0℃、101.32kPa)の乾きガスに換算した単位体積当たりの粒子質量、すなわちg/㎥
Nで測定、表示されます。粒子径の分布を表す方法としては、積算分布(ふるい上分布)によるものと頻度分布(各粒子径ごとの存在割合)によるものがあります。頻度分布とふるい上分布の関係は下図のとおりになります。
図.粒子径の頻度分布とふるい上分布の関係
積算分布(ふるい上分布):ダストの粒径分布を任意の粒子径より大きい粒子が全体に対して占める割合で表す方法で残留率ともいい、記号としてR(%)を用います。
頻度分布:ダストの粒径分布を、適当な粒子径間隔ごとに質量または個数割合で表す方法。
最大頻度径:頻度分布曲線においてピークに対応する粒子径のことで、モード系とも呼びます。
中位径:ふるい上曲線において、R=50%に対応する粒子径のことで、メディアン径あるいは50%粒子径と呼びd
p50で表します。