石炭の燃焼方法はガス流速により、固定相燃焼、流動層燃焼、微粉炭燃焼の三つに大別されます。流動層燃焼はさらに気泡(バブリング)流動層燃焼と循環流動層燃焼に区分されます。
固定相燃焼を代表するストーカーボイラー小規模の産業用ボイラーとして使われてきましたが、熱効率が悪く、最近は流動層燃焼ボイラーなどに置き換えられてきています。ストーカー燃焼装置は直径30mm程度までの石炭を機械的に連続して火格子上に供給して燃焼させ、灰の取り出しも連続的に行うことができる燃焼装置になります。ストーカー燃焼は、燃焼用空気を通過させる多数の隙間を持つ鋳物製などの火格子の上に固体燃料を支持し、固体炭素の表面燃焼を行い、揮発分および固定炭素の不完全燃焼で生成した一酸化炭素などを燃焼室を上昇する間に空間燃焼させる方式です。燃焼用空気は、火格子の下から一次空気を、燃焼室の適当な箇所から二次空気を送る構造となっています。燃料を火格子上で燃焼している火層の上に供給する上込め式、火層の下に押し込む方式を下込め式といいます。ストーカーの種類には散布式(スプレッダー)式ストーカー、移床式ストーカー、階段ストーカー、下込めストーカーおよび振動ストーカーがありますが、近年設置されるストーカーのほとんどは散布式ストーカーになります。
流動層燃焼ボイラーは広範囲な炭種への燃焼適応性、低公害性などが注目され、第一次石油危機を契機に技術開発されました。当初は、気泡流動層燃焼ボイラーが普及しましたが、その後、燃焼効率、脱硫率などの面で優れている循環流動層燃焼ボイラーへと移行しました。
流動層燃焼ボイラーは、固体粒子を多孔板上に置き、下から加圧された空気を吹き上げて粒子層を流動化させ、固体粒子を浮遊懸濁状態にして燃焼を行います。気泡流動層燃焼ボイラーで、流動層内に伝熱管を配置することで熱回収するとともに、800~900℃の低温燃焼でサーマルNOxの発生を抑制できます。循環流動層燃焼ボイラーは、高ガス流速域で操作し、粒子を強制的に循環させることで燃焼効率を上げます。そのため、高速サイクロンなどが付設されています。
微粉炭燃焼は石炭を粉砕して極めて微細な粒子として燃焼室内に吹き込んで燃焼させるもので、ガス燃焼や油燃焼に近いです。微粉炭ボイラーは、微粉炭機や集じん装置、排煙脱硫・脱硝装置などの付帯設備が大きく、維持費もかかるという欠点もありますが、大形になると高い燃焼効率や負荷変動に対する追従の容易さなどの長所がこれらの短所を補うことから発電用ボイラーなど大形ボイラーの主流となっています。