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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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VOCの排出抑制:塗装におけるVOC排出抑制方法




 塗装におけるVOC排出抑制は、VOC使用量低減技術とVOC排出処理技術に大別されます。VOC使用量低減技術でVOC使用量を削減し、少なくなったVOCをVOC排出処理技術で処理することが効率的かつ効果的な排出抑制方法です。

VOC使用量低減技術

 VOC使用量低減は調合室、塗装ブースおよび塗装設備の変更と改善によって実施されます。
 

VOC排出処理技術

 VOC排出処理技術はVOC分解装置(燃焼処理法)とVOC回収装置(吸着、吸収処理法)に大別されます。適用される処理方法は排風量や排ガス中のVOC濃度などによって決定されます。
 

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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VOCの排出抑制:環境配慮型塗料




 VOCの排出抑制には、低VOC塗料の採用が望まれます。しかしながら、塗膜性能、塗装作業性、塗装設備費などに対する課題も少なくなく、塗料ユーザーサイドの理解と排出抑制に対する積極的な取り組みが必要となります。

VOC低減のための環境配慮形塗料

ハイソリッド塗料

 NAD技術の適用などでVOCの含有率を10~20%程度まで 削減した溶剤形塗料になります。塗膜性能の低下は少ないのですが、 塗装作業性は一般の溶剤形に比べるとやや低下します。

無溶剤形塗料

 低分子量の樹脂などの使用により、VOCを含有しない塗料です。ポットライフ(可使時間)が短く、塗料粘度が高粘度となることから、塗装には専用の塗装機が必要となり、塗装作業性も溶剤形と比べると劣ります。

水系塗料

 溶媒を水とした塗料です。ただし、微量のVOCを含有することがあります。各業種向けに水系塗料の開発が進められていますが、性能、 乾燥、および設備の新設などに対する検討が必要です。

粉体塗料

 塗料性状が粉体(固形)であり、VOCを含有しない塗料です。適用業種によっては低温焼付や少量多品種対応などの課題が残されています。

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塗料からのVOC削減



《溶剤型塗料での削減》

 従来の設備がほぼそのまま使用できる経済的優位性から、これまでハイソリッド化を中心に展開が進んできました。しかし、希釈溶剤も含めて考えると、現状ではまだ相当量の溶剤を使用しており、さらなる大幅な削減が必要となります。費用対効果を考慮し、多量に使用しているもの、他のタイプへの置き換えが容易なものから対策を取っていくことが効率的と考えられます。製品品質を考えた場合、すぐに水性化へ移行することが難しいものについては、大気汚染の原因になりにくい溶剤への変更のステップを踏むなどして実質上課題への対策を取りつつ最終的には水性化を始めとする低VOC塗料へ置き換えていく必要があるでしょう。

《水系塗料化》

 金属製品(鋼製品)の下塗りは電着塗料による水性化がすでに進んでいます。主要な自動車新車塗装ラインはすでにカチオン電着塗料への転換が終わっており、他の工業用途でも転換が進んでいます。アルミニウム建材製品の塗装もアニオン電着塗料へ移行しています。いずれの用途においても、電着塗料は従来の溶剤型塗料に比べて大幅なVOCの削減を達成しています。自動車新車塗装においては、中塗りや上塗りの水性化の展開がこれからの大きな課題と那智ます。工場ラインで塗装される製品は、特に高度の仕上がりと品質を要求されるため、より高度の顔料分散技術やレオロジーコントロール技術が必要となります。メタリック感などの高意匠性を付与するためのベースコートは溶剤使用量が最も多く、水系塗料化により大幅なVOC排出量が削減できると期待され導入が進められています。エネルギー使用量の低減対策を伴った水性塗料の展開が今後の鍵となります。

《無溶剤型塗料》

 粉体塗料はトータルエミッションの面では最も優れた塗料系です。しかし、塗膜形成のためには溶融過程が必要なことから、エネルギー面や塗面平滑性に課題があり日本ではこれまであまり進展してきませんでした。その他UV塗料を始めとする無溶剤化やフィルム化などとともにVOC削減の方法として期待され検討されています。

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