《溶剤型塗料での削減》
従来の設備がほぼそのまま使用できる経済的優位性から、これまでハイソリッド化を中心に展開が進んできました。しかし、希釈溶剤も含めて考えると、現状ではまだ相当量の溶剤を使用しており、さらなる大幅な削減が必要となります。費用対効果を考慮し、多量に使用しているもの、他のタイプへの置き換えが容易なものから対策を取っていくことが効率的と考えられます。製品品質を考えた場合、すぐに水性化へ移行することが難しいものについては、大気汚染の原因になりにくい溶剤への変更のステップを踏むなどして実質上課題への対策を取りつつ最終的には水性化を始めとする低VOC塗料へ置き換えていく必要があるでしょう。《水系塗料化》
金属製品(鋼製品)の下塗りは電着塗料による水性化がすでに進んでいます。主要な自動車新車塗装ラインはすでにカチオン電着塗料への転換が終わっており、他の工業用途でも転換が進んでいます。アルミニウム建材製品の塗装もアニオン電着塗料へ移行しています。いずれの用途においても、電着塗料は従来の溶剤型塗料に比べて大幅なVOCの削減を達成しています。自動車新車塗装においては、中塗りや上塗りの水性化の展開がこれからの大きな課題と那智ます。工場ラインで塗装される製品は、特に高度の仕上がりと品質を要求されるため、より高度の顔料分散技術やレオロジーコントロール技術が必要となります。メタリック感などの高意匠性を付与するためのベースコートは溶剤使用量が最も多く、水系塗料化により大幅なVOC排出量が削減できると期待され導入が進められています。エネルギー使用量の低減対策を伴った水性塗料の展開が今後の鍵となります。《無溶剤型塗料》
粉体塗料はトータルエミッションの面では最も優れた塗料系です。しかし、塗膜形成のためには溶融過程が必要なことから、エネルギー面や塗面平滑性に課題があり日本ではこれまであまり進展してきませんでした。その他UV塗料を始めとする無溶剤化やフィルム化などとともにVOC削減の方法として期待され検討されています。