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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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塗料から排出されるVOC




 国立環境研究所が排出インベントリー調査とシミュレーションにより算出した大気へのVOC排出源類型の内訳によると、塗装によるものが全体の37%と最も多く、工業ライン塗装によるものだけでも全体の11%となっています。(図1参照)
 第10回化学物質と環境円卓会議における環境省の資料によれば、2000年に固定発生源から排出したVOCの総量の推計値は150万トンで、そのうち56%が塗装によるものとされています。また、代表的なVOCの種類と量をみると、トルエンと混合キシレンが最も多く約45万トン程度で全体の1/3程度程度を占めます。日本塗料工業会がまとめた2001年度のVOC大気排出の割合でもトルエン混合キシレンが多く、全体量45万に対し約50%を占めるとの報告があります。各塗料メーカーでは、特に大気中でVOCに変換しやすいと思われるこれらの溶剤を削減活動に取り入れる取り組みをすでにはじめています。建築塗料分野をはじめとする屋外塗装では、水性化を主体に進めていますが、水性化が難しい用途に対しては、非芳香族系のミネラルスピリット(ホワイトスピリット)などの通称弱溶剤と呼ばれる溶剤型塗料への置き換えを推奨してきています。溶剤の種類による大気環境への影響の違いに関するデータを図2に示します。MIR値が高いほどVOCが光化学オキシダントを生成しやすく、FAC値が高いほどVOCが2次粒子を生成しやすいと考えられています。キシレンやトルエンなどの芳香族炭化水素はいずれの指標も高い値となっています。一方、自動車をはじめとする工業用塗料においては、高意匠性を兼ね備えた水性中上塗り塗料の展開をはじめています。なお、混合キシレンとしているものは、3種のジメチルベンゼン異性体とエチルベンゼンの合計を表しています。



図1.VOC排出シミュレーション



図2.溶剤種による大気環境への影響指標

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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塗料及びVOC




 塗料はこれまで、ものの価値を損なわず長期的に使用するための手法の一つとして用いられてきました。土や木材が主要な素材であった時代には、神社仏閣などの建造物や、食器、箱などの日用品に漆喰や漆を塗ることで素材に耐久性を与えつつ生活に潤いを持たせてきました。その後、産業革命以降の急速な工業化によって鉄鋼中心とする金属素材の使用が広がり、これを保護する防食塗料や意匠性を与える上塗り塗料が発展してきました。さらに、化学技術の発展に伴い原油を原料とする合成樹脂が開発され、耐久氏や意匠性のさらなる要求もあいまって、塗料も多様化、多量使用の時代に入り順調に発展してまいりました。とりわけ、金属素材においては、鉄やアルミニウムを中心に塗装技術の発達に伴い工業塗装化が進められてきました。近年では新しい機能の付与といった要素も加わり、塗料(塗膜)への期待はさらに高まっています。高度な耐久性能や意匠性に応えるために、これまでの塗料(塗装)技術は有機溶剤の利用を中心に行われてきました。これは有機溶剤が低価格で、樹脂の溶解力、素材へ塗り広がる表面張力の調整、造膜過程での乾燥の早さと均一化などの機能を備える好材料であったことによります。しかしながら、一方で塗料の使用量が増えるにしたがって、副次的に発生する大気へのVOCの排出量が増加してきていることも間違いなく、塗料面、塗装面、後処理などの装置面をも含めた総合的な検討によりVOCの排出を低減できる塗料、塗装システムの採用が必要になりました。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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