主な塗料用樹脂とその特徴
アクリル樹脂
二重結合を持ったモノマーがラジカル重合で繋がった樹脂。モノマーの種類が多く、モノマーの選択により様々な性質を持たせることが可能です。基本的には無色透明で、光沢、耐候性、耐薬品性に優れます。高Tg・高分子量のものはラッカータイプ、水酸基やカルボキシル基を持つものはメラミン樹脂やポリイソシアネートなどの硬化剤と組み合わせ1液・2液の熱硬化性塗料に用いられます。ポリエステル樹脂
カルボン酸を持つモノマーと水酸基を持つモノマーが脱水縮合し、エステル結合で繋がった樹脂。アルキド樹脂と区別する意味でオイルフリーポリエステルとも呼ばれます。耐候性・耐薬品性・硬度と可とう性のバランスに優れます。高分子量直鎖型はプレコートメタル用などに使用され、低分子量分岐型ポリエステル樹脂は一般工業用塗料に用いられます。どちらもメラミン樹脂と組み合わせて1液焼き付け塗料とされます。アルキド樹脂
アマニ油やヤシ油などの天然油で変性されたポリエステル樹脂を指します。油の量により、多い順に長油・中油・短油と区別されます。長・中油アルキド樹脂は不飽和脂肪酸を多く含む油で変性され、不飽和二重結合の酸化重合により常温硬化します。短油アルキド樹脂は飽和脂肪酸が主体の油で変性され、メラミン樹脂等と組み合わせた1液焼き付け塗料に使用されます。ポリウレタン樹脂
イソシアネート基を持つモノマーと水酸基を持つモノマーが、ウレタン結合で繋がった樹脂。弾力性に富み、強じんで、耐摩耗性、密着性、耐薬品性、耐溶剤性に優れた塗膜を形成します。水酸基を持つアクリル樹脂やポリエステル樹脂（主剤）とポリイソシアネート（硬化剤）から成り、硬化塗膜がポリウレタンとなる2液型と、油変性型や湿気硬化型の1液型があります。ポリイソシアネート
広義にはイソシアネート基を複数持つ加工物のことになりますが、TDI（トリレンジイソシアネート）、HDI（ヘキサメチレンジイソシアネート）などの単量体は低分子量で蒸気圧が高く毒性が高いので、2液ウレタン塗料の硬化剤としてはしようか困難です。このため、アダクト体・ビュレット体・イソシアヌレート体などの高分子化されたものが硬化剤として使用されます。エマルション樹脂
樹脂は溶剤に溶解した樹脂ワニスの形で提供されることが多いですが、溶解せずに溶剤中で粒子状に分散したものを指します。分散している樹脂はアクリル、ポリエステル、ウレタンなどさまざまな化学構造です。同じ化学構造・分子量であれば、ワニス状態（溶解）よりもエマルション（分散）の方が一般的に粘度が低くなります。狭義には溶媒（分散媒）が水であるものを指すものが多いです。エポキシ樹脂
エポキシ基を分子中に二個以上持つ樹脂をエポキシ樹脂と呼びます。塗料にはビスフェノールA型が主に用いられます。耐食性、耐薬品性、被塗物への密着性に優れる反面、紫外線に弱く、耐候性・耐光性は不良で、下塗りやさび止め塗料に用いられます。メラミン樹脂
メラミンにホルムアルデヒドを付加させ、さらにメタノールやブタノールなどのアルコールを付加縮合させて製造されます。これらの反応の進行程度やアルコールの種類、自己縮合の程度によりさまざまな品種があります。水酸基を持つアクリル樹脂やポリエステル樹脂と組み合わせて1液型焼き付け塗料に使用されます。比較的安価でほかの樹脂との相溶性に優れます。UV硬化樹脂
紫外光を照射して固める樹脂を指します。二重結合を持つ重合性モノマーと光重合開始剤と、これだけではもろく密着性に乏しい塗膜しか得られないことから、二重結合を持つオリゴマー（プレポリマー）を加えます。オリゴマーにはポリエステル、エポキシ、ウレタンなどのアクリレートが用いられ、上記のそれぞれの化学構造に特徴的な性質が発現します。
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