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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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塗料に起因する欠陥:粘度変化、皮張り



《粘度変化》

(a)リバリング及びケーキング

 顔料を含んだ塗料がこんにゃく状に固まる現象をリバリングといいます。この現象が進行すると、ケーキ状に固化します。この現象をケーキングといいます。
 この現象を生じる原因は、顔料と樹脂の反応により生じるもので、たとえば亜鉛華、鉛丹などアルカリ性の顔料と酸性の樹脂の反応や、顔料の不純物による樹脂の重合などがあります。

(b)ゲル化

 貯蔵中に粘度が上昇し、撹拌してもまたうすめ液を使っても粘度が低下せずに、容器内でゼリー状に固化してしまう現象をゲル化といいます。
 ゲル化の原因は、樹脂の重合反応が進行したり、樹脂と顔料の反応などによって生じるものであります。また、これらの現象は、塗装中においても異種の塗料やうすめ液を混合した場合に、相溶性が悪く生じる場合があります。
 樹脂の重合反応の場合、貯蔵中に容器の密閉が不十分であると大気中の水分が侵入したり、酸素が侵入し、樹脂が反応してゲル化が進行する場合がります。
 塗料の中で水をうすめ液とする合成樹脂エマルションペイントの場合、低温時に塗料中の水が凍結してとけた後も、もとに回復しない場合もあります。したがって、これらの現象に対しては、塗料メーカーの指示による貯蔵方法に従い、注意しなければなりません。

《皮張り》

 皮張りとは、貯蔵中に塗料容器の中で塗料表面に乾燥した皮を張る現象をいい、酸化重合型の塗料である油性ペイント、合成樹脂調合ペイント、油性ワニスなどに生じやすい欠陥になります。
 発生する原因は、塗料表面で酸素が吸収され、表面酸化重合を生じ乾燥して皮を張るもので容器の密閉が不十分であったり、容器内に塗料中のドライヤが過剰に添加されている場合などに起こりやすい現象です。

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被塗装物に起因する欠陥とその防止方法




 被塗装物の素材の不良によって起きる欠陥は、吸収性の大きな材質、水分の含有、付着物の汚れなどが原因となって塗膜に欠陥を生じます。
 一例を挙げると、モルタル、ブラスター面などが乾燥不十分のうちに塗装すると、アルカリを含んだ水分のために、ふくれ、はがれ、退色などの塗膜を劣化させる原因となります。防止対策としては素材を十分に乾燥させ、モルタル水分計、pHメーターなどを用いて水分、アルカリ度を測定し、含水率6%以下、pH9以下で塗装可能時期を判断します。また、鉄面、亜鉛めっき面などの表面処理が不十分であると付着不良となり、はく離、はじきなどの原因となります。防止方法としては、化学処理による素地調整を完全に行うことが必要になります。

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塗面の乱れ



①ゆず肌(Orange Peel)
 ゆず肌はオレンジの皮の表面のような感じに、緩やかな凹凸の起伏が残る状態をいいます。
 ゆず肌は塗装時の溶剤がうず対流で蒸発していった跡ともいえます。乾燥が進んで塗料の粘度が高くなってくると対流はなくなりますが、このとき樹脂の流動性があれば、塗面は平坦になってこのようなゆず肌にはなりません。
 一般に高揮発性の溶剤が主のシンナー組成で出来やすいので溶解性の良い高沸点溶剤を混入して流動性を与えますが、シリコン樹脂が表面層に集まりやすい性質を利用して、微量加えて激しいうず対流を止めると発生しません。

②ピンホール(Pinhol)
 ピンホールは、油性形の塗料には少なく、合成樹脂形の塗料に多い不具合です。焼付け塗料では、溶剤分が急激に蒸発すると泡となり、これが生乾きの塗膜を破ってピンホールになります。
 常乾型の塗料でのピンホールの発生は、素地面に残っていた気泡が下塗りと上塗りの界面にまで運ばれると、界面エネルギー員基づくせん断力が働いて、すでに粘くなっている表面塗膜を破って出てピンホールとなります。このとき泡は表面張力の小さい物質で包まれているわけでありますから(塗装では下塗り塗料で)、泡の上昇は当然下塗り塗料とともに表面に出てきます。このために素地まで見える孔になります。

③塗膜の割れ
 塗膜の内部応力は、すでに塗装時に発生します。そして2方向に延伸された形で素材に固着し、その後さらに残留溶剤の蒸発や、後硬化あるいは老化の進行などによって塗膜の内部応力は次第に増大し、塗膜の凝集力以上になると、「割れ」になります。
 この割れは塗料乾燥時の溶剤蒸発によるうず対流の縁に沿って発生しやすい特徴があります。

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