①ゆず肌(Orange Peel)
ゆず肌はオレンジの皮の表面のような感じに、緩やかな凹凸の起伏が残る状態をいいます。
ゆず肌は塗装時の溶剤がうず対流で蒸発していった跡ともいえます。乾燥が進んで塗料の粘度が高くなってくると対流はなくなりますが、このとき樹脂の流動性があれば、塗面は平坦になってこのようなゆず肌にはなりません。
一般に高揮発性の溶剤が主のシンナー組成で出来やすいので溶解性の良い高沸点溶剤を混入して流動性を与えますが、シリコン樹脂が表面層に集まりやすい性質を利用して、微量加えて激しいうず対流を止めると発生しません。
②ピンホール(Pinhol)
ピンホールは、油性形の塗料には少なく、合成樹脂形の塗料に多い不具合です。焼付け塗料では、溶剤分が急激に蒸発すると泡となり、これが生乾きの塗膜を破ってピンホールになります。
常乾型の塗料でのピンホールの発生は、素地面に残っていた気泡が下塗りと上塗りの界面にまで運ばれると、界面エネルギー員基づくせん断力が働いて、すでに粘くなっている表面塗膜を破って出てピンホールとなります。このとき泡は表面張力の小さい物質で包まれているわけでありますから(塗装では下塗り塗料で)、泡の上昇は当然下塗り塗料とともに表面に出てきます。このために素地まで見える孔になります。
③塗膜の割れ
塗膜の内部応力は、すでに塗装時に発生します。そして2方向に延伸された形で素材に固着し、その後さらに残留溶剤の蒸発や、後硬化あるいは老化の進行などによって塗膜の内部応力は次第に増大し、塗膜の凝集力以上になると、「割れ」になります。
この割れは塗料乾燥時の溶剤蒸発によるうず対流の縁に沿って発生しやすい特徴があります。