昭和57年に200海里経済水域が制定されて以来、我が国の水産業は沿岸漁業に負うところが大きく、「採る漁業」から「栽培する漁業」への転換が迫られています。
従来水産資源の養殖には、肥料や飼料などの栄養分の海中散布が行われてきましたが、海流に流されたり、希釈されたりするため効率が極めて悪く、しかも過剰に散布すると海水を汚染したり、水産物に被害を与えるなどの問題を抱えていました。
これらの問題を解決するために開発された塗料が水産養殖塗料になります。
水産養殖塗料は岩石やロープや網、コンクリートや鉄製の漁礁など適用基材に塗装するタイプが多いですが、あらかじめ棒状に固形化したものを海中に取り付けるタイプも市販されるようになってきました。
水産養殖塗料は、塗膜からほどよい速度で、必要とする栄養分を長期間溶出させることができます。海藻の仮根が養生しやすく、栄養分の摂取効率もよくなるので成長も早いです。ノリやコンブ、ワカメなどの食用海藻類の養殖や、アワビ、ウニなどの養生板、漁礁や海中林における藻場の造成などの目的に使用されています。
海水を汚染することなく水産資源の養殖効率を高めることができるので、海底漁場や海底牧場の造成に多く使用されてゆくものと考えられます。