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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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着氷防止塗料



雪や氷の堆積や付着が原因で発生する災害は深刻な問題となっています。冬期北洋で操業する漁船がトップヘビーになって転覆したり、パンタグラフが破損したり、身近なところでは道路や駅ホームで滑って転倒するなど、雪氷による事故は多いです。
 雪氷の物体表面への付着や堆積を防止する方法には、電熱ヒーターやヒートパイプなど熱エネルギーを使う方法や、塩類散布など化学物質による方法が知られていますが、前者は設備費や維持コストが高く後者は持続性が短い(都度散布が必要)などの問題があります。
 塗料による方法は、疎水性、極性、氷との接触角、表面エネルギーなど、主として塗膜の表面の性質のみによって機能を発揮させようとするもので、技術的には極めて難しい分野ではありますが、研究段階を経てようやく実用に入りつつあるといえます。
 現在までに到達している塗料による着氷防止方法の利点と制約は次の通りになります。

《利点》
 1) 雪や氷の除去が容易になる。雪や氷は比重が小さいため自重による脱落が困難な場合が多いが、未塗装面に比べて、わずかな外力で除去できる。
 2) 比較的施行が容易であり、複雑な形状の被着体にも処理できる。
 3) 電熱などのエネルギーが不要、または大幅に削減できる。
 4) 難着氷性素材のバルクとしてのしようと比較して、トータルコストが安い。
 5) 粘性体の散布などと異なり、ある期間(例えば一シ-ズン)耐用できる。
 6) 再コーティングが容易である。

《制約》
 1) 雪や氷の付着を完全に避けることはできない。
 2) 形状が複雑なことによる構造的な着氷の固着は避けられない。
 3) 膜厚に限度があり、消耗する。
 4) 汚れや塗膜の劣化により耐用期間が限定される。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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