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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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塗料成分と付着性



ポリマーの種類や構造(極性基の種類と濃度、分子量)は当然のことながら塗膜の付着性を左右します。不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂について、水酸基やカルボキシル基濃度に比例して付着性が増大するという報告があります。
 しかし適正な極性基を多く持ちながら付着性の良くないポリマーも多く、単純に極性基濃度だけでは付着性を論ずることは出来ません。付着の強さ~ポリマーの分子量、橋かけ密度、顔料および可塑剤濃度を調べた曲線は一般に極大点を持つ曲線で示されることが多いです。付着強さの評価には、付着性および塗膜の凝集力のほかに付着障害として作用する内部応力が総合して評価されるためであります。
 主な付着障害には付着活性点の減少、WBLの存在、塗膜の内部応力(乾燥過程において発生する塗膜の収縮または熱応力や劣化に伴い生じる応力)などが挙げられます。

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被塗面の性状と付着性



被塗面のぬれがよくなければなりませんので、塗装前の表面の洗浄、表面処理、素地調整は重要です。ステンレス鋼に対する2液性エポキシ樹脂塗料の付着性を向上させるには、サンドブラストと硫酸浸食が蒸気脱脂やアルカリ洗浄と比較して有効といえます。サンドブラストや研磨による付着性向上は、凹凸による付着面積の増大効果よりも、吸着による有効な活性点の付与効果の方が遙かに大きいと考えられます。したがってこの素地調整後、すぐ塗装しないとその効果が激減してしまいます。
 例えば、耐熱性塗料を鋼板に塗装する場合、溶剤脱脂とサンドブラスト処理の2つの素地調整を行ったとします。特にその塗膜が250~350℃の熱履歴を経た後に塩水噴霧試験を行った場合、溶剤脱脂処理試験片では、塗膜は剥がれてしまいますが、サンドブラスト処理試験片の塗膜は剥離せずに長期の耐食性を保ちます。サンドブラスト処理は初期付着性の向上のみならず、塗膜の2次物性の向上に大幅な寄与が認められます。

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付着の理論のまとめ



吸着説電気説拡散説はいずれも界面における付着破壊(異種分子間力の破壊)を前提としているのに対し、WBL説は脱着を凝集破壊と考えています。付着現象はこのように、その最も基本的基盤から明確ではないと言わざるを得ません。
 経験的には、金属に対する付着問題では吸着説が有効であるようです。その一方でプラスチック・層間付着など、ポリマーに関してはWBL説が有効であることが極めて多いようです。
 塗料のような組成の極めて複雑な系の付着問題については、支配要因が非常に多く、1つの付着理論では割り切ることが出来ません。塗膜の内部応力・バルクの粘弾性(顔料効果も含む)・被塗物表面の形態学の追求が現在最も重要な課題となっています。とりわけ表面のモロホロジ-は実用と密接に関連する新しい研究分野であるといえます。

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