被塗面のぬれがよくなければなりませんので、塗装前の表面の洗浄、表面処理、素地調整は重要です。ステンレス鋼に対する2液性エポキシ樹脂塗料の付着性を向上させるには、サンドブラストと硫酸浸食が蒸気脱脂やアルカリ洗浄と比較して有効といえます。サンドブラストや研磨による付着性向上は、凹凸による付着面積の増大効果よりも、吸着による有効な活性点の付与効果の方が遙かに大きいと考えられます。したがってこの素地調整後、すぐ塗装しないとその効果が激減してしまいます。
例えば、耐熱性塗料を鋼板に塗装する場合、溶剤脱脂とサンドブラスト処理の2つの素地調整を行ったとします。特にその塗膜が250~350℃の熱履歴を経た後に塩水噴霧試験を行った場合、溶剤脱脂処理試験片では、塗膜は剥がれてしまいますが、サンドブラスト処理試験片の塗膜は剥離せずに長期の耐食性を保ちます。サンドブラスト処理は初期付着性の向上のみならず、塗膜の2次物性の向上に大幅な寄与が認められます。