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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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熱硬化性粉体塗料の製造方法




 粉体塗料は樹脂・硬化剤・顔料・添加剤を前混合し、溶融混練機で加熱溶融することで均一に混ぜられて作られます。溶融混練機から出てきた塗料はシート状に伸ばされて冷却されたのち、粉細機で所定の粒度の粉末に砕かれて製品として充填されます。液体塗料と大きく異なる点は、顔料の分散工程がなく溶融混練であること、後調色工程がないこと、使用する製造機器が多いことなどが挙げられ、これらが粉体塗料の調色の難しさと小口製造単価が高くなる要因となっています。一般的な静電吹付け塗装に使用される粉体塗料の中心粒子径は30~50ミクロン程度です。

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粉体塗料の種類と特徴




 粉体塗料はその名の通り水や有機溶剤などの溶媒を含まない常温で粉末状の塗料です。静電気の力で被塗物に塗装付着させ、加熱溶融することによりメルトフローして連続塗膜となります。粉体塗料は大別すると熱可塑性粉体塗料と熱硬化性樹脂と分類できます。
 熱可塑性粉体塗料は分子量が数万~数十万の熱可塑性樹脂を用いて粉体塗料化します。主として被塗物を加熱後、粉体塗料が空気流によって流動状態になっている層に浸漬(流動浸漬法)して200~1000μmの塗膜に塗装されることが多く、被覆性に優れますが素材への付着性は熱硬化性粉体塗料に比べて劣る傾向があります。
 熱硬化性粉体塗料は分子量数千から数万程度の熱硬化性樹脂を用いるため、メルトフロー後さらに加熱することにより架橋反応が進行して網目構造を有する強じんな塗膜となります。主に静電吹付塗装(静電粉体塗装)により通常40~100μm程度の膜厚に塗装されます。
 熱可塑性粉体塗料は主に樹脂メーカーから、熱硬化性塗料は主に塗料メーカーから供給されています。

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【添加剤】レオロジーコントロール剤



レオロジーコントロール剤

①主に粘度を増加させる目的で使用される増粘剤(シックナー)
②チクソトロピー性を付与させる目的で使用される揺変剤(チクソトロピック剤)

チクソトロピー性とは

一定のせん断速度で流動させたときに粘度が減少し、その後流動を止め静置すると再び元の高粘度に戻る性質です。
塗料にこの性質を付与すると、分散や塗装工程における作業性を損ねることなく、顔料の沈降を防止し、厚塗りしたときのたれ(だれ)防止が可能となります。
これらの機能を付与するために使用するレオロジーコントロール剤を特に沈降防止剤、たれ(だれ)防止剤ともいいます。

▽レオロジーコントロール剤は、無機系および有機系に分類されます。
①添加剤自身がビヒクル中で構造を形成するものと、②無機粒子や樹脂粒子との相互作用により構造を形成し、粘性を発現するものとがあります。
▽使用される系が溶剤系または水系により異なる特性を有する素材が使用されます。
▽ビヒクル(バインダー溶液)の種類、及び顔料の形態などにより効果が異なります。
目的とする機能(増粘、沈降防止、たれ防止)を考慮したうえで適切なレオロジーコントロール剤を選択することが必要です。
▽過度の使用は塗膜物性等に悪影響を与える場合もあります。十分な予備検討が必要です。

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