粉体塗料はその名の通り水や有機溶剤などの溶媒を含まない常温で粉末状の塗料です。静電気の力で被塗物に塗装付着させ、加熱溶融することによりメルトフローして連続塗膜となります。粉体塗料は大別すると熱可塑性粉体塗料と熱硬化性樹脂と分類できます。
熱可塑性粉体塗料は分子量が数万~数十万の熱可塑性樹脂を用いて粉体塗料化します。主として被塗物を加熱後、粉体塗料が空気流によって流動状態になっている層に浸漬(流動浸漬法)して200~1000μmの塗膜に塗装されることが多く、被覆性に優れますが素材への付着性は熱硬化性粉体塗料に比べて劣る傾向があります。
熱硬化性粉体塗料は分子量数千から数万程度の熱硬化性樹脂を用いるため、メルトフロー後さらに加熱することにより架橋反応が進行して網目構造を有する強じんな塗膜となります。主に静電吹付塗装(静電粉体塗装)により通常40~100μm程度の膜厚に塗装されます。
熱可塑性粉体塗料は主に樹脂メーカーから、熱硬化性塗料は主に塗料メーカーから供給されています。