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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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【溶剤】塗料用溶剤について~概論、分類、強溶剤と弱溶剤



《液体塗料にとって重要な原材料である溶剤》

▽社会インフラである長大橋などを保護する重防食塗料にはエポキシ樹脂が使用され、自動車上塗りトップコートクリヤーには高耐候性のアクリル樹脂が使用されています。ほかにも用途に応じて様々な樹脂が使用されています。樹脂の溶解性、溶解性パラメーターSPに応じて適切な溶剤の選択が必要となります。
▽さらに、焼き付け型の塗料から常温乾燥形の塗料まで、乾燥条件も多様です。したがって、沸点、揮発速度などの選択も必要です。
▽環境対応としての水性化が困難な用途には溶剤型塗料を使わざるを得ない場合があります。その場合においても、より臭気、刺激性の少ない溶剤が望まれます。
⇒したがって液体塗料に使用される溶剤の種類は非常に多くなっています。

《主な溶剤の種類》

▽炭化水素系溶剤:トルエン、キシレン、ミネラルスピリット(ターペン)など

芳香族系か、脂肪族系かによって溶解力が異なります。用途は油性塗料、アルキド樹脂、アクリル樹脂塗料などに使用されます。ミネラルスピリットなど脂肪族系は弱溶剤塗料に用いられます。

▽アルコール系溶剤:メタノール、プロパノール。ブタノールなど

助溶剤として使われます。塗料の電気抵抗値の調整といった役割があります。

▽エステル系溶剤:酢酸エチル、酢酸ブチルなど

比較的マイルドな極性溶剤です。

▽ケトン系溶剤:アセトン、MEK、MIBK、シクロヘキサノンなど

溶解力の強い極性溶剤です。エポキシ樹脂の溶解に使用されます。

▽グリコールエーテル系溶剤:ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど

水酸基とエーテル基を有する溶解力の高い溶剤です。水性塗料によく使われます。

《強溶剤、弱溶剤とは》

強溶剤とは?

比較的溶解力の強いラッカーシンナー、エポキシシンナー、ウレタンシンナーなどを強溶剤といいます。トルエン、キシレンなど芳香族炭化水素とエステル、ケトンなどで構成されています。ラッカーシンナーなどではアルコールも含まれている場合もあります。溶解性パラメーターSPは8~10程度と高いです。
エチルベンゼン、MIBK(メチルイソブチルケトン)等は「特定化学物質」に指定されています。法規制に従って使用しなくてはいけません。

弱溶剤とは?

溶解力の弱いシンナーを弱溶剤といいます。臭いがマイルドであり、旧塗膜への影響(溶解、膨潤)などが少ないです。石油系炭化水素(主に脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が少量含まれているものもある)で構成されています。強溶剤といわれているシンナーに比べれば、環境面への影響が少ないシンナーといえます。溶解性パラメーターSPは7~8程度と低いです。

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【顔料】防錆顔料



《概論》

▽防錆顔料は化学的に金属の腐食を抑制する機能を持つ顔料です。
→防錆効果は顔料から溶出する防錆イオンに基づきます。
▽旧来は鉛やクロムなどの有害物質を含むものが多用されてきましたが、最近ではリン酸塩や亜鉛などから構成されるものに変化してきています。
▽防錆顔料は比較的硬度が高いうえに、一次粒子径が大きいものが多いので、分散しても粗粒や顔料ブツが残ったり、光沢が低いままであったりします。
多くは無機顔料で表面自由エネルギーが大きいので、濡れには問題が起こりにくいです。
▽一方、分散安定化では、顔料からイオンが溶出してくるので、樹脂や分散剤の溶解性に影響したり、樹脂や分散剤の吸着店が変化します。
→分散安定性が不良となる場合があります。
すなわち、塗料が顕著なチキソトロピー性を示したり、貯蔵による凝集ブツが発生する場合があります。

《リン酸塩系防錆顔料》

▽リン酸塩には、正リン酸塩、ポリリン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などがあり、その使用する金属も多くの無公害型のものが検討されています。亜鉛、カルシウム、マグネシウムをはじめとして、チタン、マンガン、ストロンチウム、バリウム、鉄、ジルコニウム、セリウムなどのリン酸塩が有効であるとされています。これらの中で、リン酸亜鉛系が鋼板・安価用、リン酸マグネシウムが亜鉛用として、鉛、クロメート系防錆顔料の代替に使用されています。
▽リン酸塩の防錆機構については、古くから研究されています。その作用は、リン酸塩顔料から溶出したリン酸イオンが鉄鋼表面の鉄イオンと反応して水不溶性の複雑な密着性のある化成皮膜を形成し、これが鉄鋼表面を不動態化することによります。亜鉛系素地に対してはイオン化傾向の関係もありマグネシウム塩が有効です。

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【顔料】光輝性顔料



パール系エフェクト顔料

天然パールエッセンス、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、金属酸化物被覆雲母、金属酸化物被覆アルミナフレーク、シリカフレークなどの板状基体の表面に金属酸化物を被覆したものは、二酸化チタン被覆タイプであれば、その被覆膜厚を変化させることによりシルバー色から、ゴールド、レッド、パープル、ブルー、グリーンなどの干渉色を発現するパール顔料となり、酸化鉄タイプは、酸化鉄を被覆することによるブロンズ調からレッド調の着色粉末のパール顔料となります。
これらの金属酸化物被覆タイプは、他のパール顔料と比べて、無毒で熱安定性、化学的安定性および機械的強度に優れるという特長をもちます。自動車外装用途など厳しい耐候性が求められる用途には、表面処理タイプもあります。

マイカ系パール顔料

金属酸化物被覆雲母(マイカ)は、天然白雲母または合成雲母を基材にその表面に高屈折率の二酸化チタンや酸化鉄などの金属酸化物を被覆したものです。金属酸化物被覆雲母は、他の金属粉顔料と比べ分散性が良く、非導電性、耐酸、耐アルカリ性、耐熱性など優れた物性を有し、溶剤系塗料のみならず水系塗料に汎用的に使用されています。

アルミナフレーク系エフェクト顔料

天然雲母基材特有の不純物(鉄、銅、マンガン)によるくすみや濁りを解消するために、天然雲母の代わりに、結晶酸化アルミニウムフレーク(アルミナフレーク)を基材として光学顔料で、より白く(シルバータイプ)、高彩度(干渉色タイプ)で、高光沢またはキラキラ感の強い効果を持つパール系エフェクト顔料の一つです。高純度のアルミナフレークを基材として、マイカ系パール顔料と同様に、無毒性で熱安定性、化学的安定性および機械的強度に優れ、自動車外装用に多く使用されています。

シリカフレーク系エフェクト顔料

特殊な製法で酸化ケイ素(シリカ)をフレーク状に加工したものを基材として、さらに金属酸化物が表面に被覆されています。基材であるシリカフレークの厚みが高度にコントロールされているため、顔料に対する入射光と反射光の光路差・干渉光を観察角度により連続的に変化させることが可能となります(マルチカラーエフェクト)。
マイカ系パール顔料やアルミナフレーク系顔料と同様に、無毒性で熱安定性、化学的安定性および機械的強度に優れ、自動車外装用にも使用されています。

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