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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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【ばいじん・粉じん特論】送風機



 送風機は羽根車の回転運動により気体を圧送し、その圧力比(吐出絶対全圧または制圧と吸い込み絶対全圧または静圧の比)または吐出圧力によりファンとブロワーおよびコンプレッサーに分かれます。

 ファン:圧力比 1.1倍未満 または吐出圧力 9.8kPa未満
 ブロワー:圧力比 1.1~2倍 または吐出圧力 9.8kPa以上約 100kPa未満
 コンプレッサー:圧力比 2倍以上

 集じん装置に付帯する送風機は、通常、圧力損失が少ないため、多翼ファン、ラジアルファン、後ろ向きファンなどの遠心ファンなどが使用されます。これらのファンは、集じん装置ではダストによる摩耗を少なくするため通常吸引ファンとして使用されます。
 多翼ファンは遠心ファンの中で効率は低いですが、小型かつ安価で圧力係数が高く、低圧で風量の大きい用途に適しています。ガス流量は20,000㎥/min以下で、圧力は、空調用の場合で0.6kPa以下、工業用では通常3kPa、最高で7.5kPaです。
 ラジアルファンはプレートファンまたは径向きファンとも呼ばれ、圧力係数が多翼ファンに次いで高く、効率は後ろ向きファンよりやや低い程度であり、小型/軽量で、集じん装置のように摩耗が激しい場合の使用に適しています。ガス流量は大体2,000~21,000㎥/minで、圧力は2~20kPaであります。集じん装置で最も多く採用されているのがこのラジアルファンになります。
 ターボファンは遠心ファンの中で最も効率がよく、ガス量の広範囲な使用に適しています。しかし、圧力係数はラジアルファンよりさらに低くなります。ガス流量は40,000㎥/min以下で、圧力は大体15kPa以下で用いられます。
 送風機の排風量を変えるには、回転数の変更、吐出弁または吸引弁を絞る、吸引案内羽根の角度調節などによる方法がありますが、可変速電動機を用いて回転数の変更により風量を制御する方法が最も多く採用されています。
 回転数変更による流量制御の場合、「風量は回転数比に比例」「風圧は回転数比の2乗に比例」「動力は回転数の3乗に比例」します。


表.送風機の効率と余裕率
型式効率余裕率
多翼式0.40~0.771.15~1.25
プレート形0.60~0.771.15~1.25
ターボ形0.65~0.801.10~1.50

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【ばいじん・粉じん特論】フード




 発生源からのばい煙または汚染空気の処理を経済的に行うには、まず発生ガスをできるだけ高濃度の状態で捕捉し、ダストの集じん、有害ガスの除去を行う必要があります。集煙の方法は次の二つの方法があります。

(1)直接吸引法
 密閉形のばい煙発生施設では、ばい煙は炉体から直接吸引され、煙道またはダクトを経て煙突から排出されます。炉体、ダクト(煙道)、ダクトエキスパンジョン、その他から空気の漏れ込みがあると、処理ガス量が増加して集じん装置は大きくなり不経済になりますが、直接吸引法では発生ガス量の2倍を超えることは極めてまれです。

(2)間接吸引法
 操業上直接吸引のできない開放形の発生施設では、ばい煙または汚染空気をフードによって集煙して処理することになります。したがって、フードによる発生ダストやガスの捕捉が不十分な場合、作業環境を悪くすることになります。
 一方、余分な空気の吸引量が多くなると大きな集じん装置が必要で、開放炉での間接吸引では、処理ガス量は発生ガス量の10倍以上となっています。
 一般に直接吸引法が望ましいですが、発生源の形状や作業条件との関係で、多くの場合にフードを用いた間接吸引法が採用されています。フードは、形状、設置場所、吸引の方向、ダストの受け方などによって多種多様でありますが、囲い形、ブース形、外付け形、レシーバー形に大別できます。
 囲い形フードは、ばいじんや粉じんの発生源を全面的に覆ったもので、発生ガスの漏えいや外気の吸い込みが少なく、ばい煙などは最も高濃度の状態で集煙することができます。
 ブース形フードは、作業上必要な一面を開口にしています。この開口部から逸出するダストは開口部の吸い込み気流によって抑制されることになります。処理ガス量は、開口部における吸い込み空気量だけ囲い形よりも多くなります。
 外付け形フードは、構造上や作業上、発生源を全く覆うことができない場合に採用され、側方形や下方形などがあります。フードが発生源に対して独立して設けられ、発生ガスに比較して余分な空気を多量に吸い込むことになります。
 レシーバー形フードは、金属溶解炉などでは熱の上昇気流を、グラインダーなどではダストの慣性力の方向に沿って吸い込むようになっています。

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【ばいじん・粉じん特論】集じん装置の部分集じん率と実用範囲



 集じん装置の集じん率を支配する諸因子のうち、最も大きな因子はダストの粒径分布です。各種集じん装置の一般的な部分集じん率曲線は図のとおりになります。図からわかるように、集じん率に最も大きな影響を与えるのはダストの粒径分布です。
 集じん装置の部分集じん率からダストの大部分が数μm以上の場合には、遠心力集じん装置で十分であり、数μm以下が主体となる場合は、洗浄集じん装置、ろ過集じん装置、電気集じん装置などの中から条件に合うものを選択することになります。各種集じん装置の実用範囲は表のとおりで、各集じん装置の特徴は次のとおりになります。
 重力集じん装置は、流速が小さいほど細かいダストが捕集できますが、装置が大きくなり設備費が高くなります。
 慣性力集じん装置には、煙道内に衝突板を設置して粒子を捕集する衝突式のものと、含じんガス流の方向転換によって粒子を捕集する反転式のものがあります。表のルーバー形は通常煙道に挿入して使用されますので、排ガス流速に近い速度での集じんとなります。
 遠心力集じん装置は、一般に流速が大きいほど集じん率は高くなりますが、限界を超えるとかえって集じん率は低下してしまいます。一方、圧力損失は流速の2乗で増加するので流速が大きいほど運転費がかさむことになります。通常10m/s前後の流速で使用されます。
 洗浄集じん装置のうち、充填塔やスプレー塔は流速が小さいほど集じん率が高くなり、一般に1m/s以下で使用されます。一方、ベンチュリースクラバーやジェットスクラバーでは、流速が大きいほど集じん率は高くなりますが、ガス流速が桁違いに大きく、その分圧力損失も大きくなるため、運転費が著しくかさみます。
 隔壁形集じん装置のバグフィルターは、流速が小さいほど細かいダストが捕集でき、また、電気集じん装置と並んで高い集じん率が得られますが、他の集じん装置と比較して流速が桁違いに小さいため、ガス流量が多い場合には装置が大型になります。
 電気集じん装置は、乾式では集じん電極に付着したダストの再飛散、ガス流による同伴を、湿式では、集じん電極の表面に形成された水膜のガス流による波立ちを考慮しての運転になります。このため、一般にガス流速は3m/s程度に抑えられています。火力発電所など、粉じん濃度が高く、排ガス流量が多い設備での使用が多く大型の設備が多いです。

図.各種集じん装置の部分集じん率

表.各種集じん装置の実用範囲
分類形式取り扱われる
粒度(μm)
圧力損失
(kPa)
集じん率
(%)
設備費運転費
重力集じん装置沈降室1000~500.1~0.1540~60
慣性力集じん装置ルーバー形100~100.3~0.750~70
遠心力集じん装置サイクロン100~30.5~1.585~95
洗浄集じん装置ベンチュリースクラバー100~0.13.0~9.080~95
隔壁形式集じん装置バグフィルター20~0.051.0~2.090~99.9中以上中以上
電気集じん装置20~0.050.1~0.290~99.9小~中

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