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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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【ばいじん・粉じん特論】各種発生源施設とダストの特性



 燃焼排ガスのばい煙の性状は、発生源施設の種類や形式、構造、燃料や原材料の種類や構成、燃焼条件あるいは操作条件によって著しく変化し、集じん装置の性能を大きく左右します。集じん率に影響を与えるダストの性状としては、粒径分布、濃度、密度、成分分布、見かけ電気抵抗率、吸湿性、付着性など、また、ガスの性状としては、ガス量、水分量、露点、粘度、温度、成分、密度、圧力などがあります。
 一方、安全性の点からダストおよびガスの爆発性、毒性が、また、耐久性の面から腐食性、摩耗性などの問題があります。
 主な発生源からのダストの濃度と粒径は表のとおりです。また、汎用的に使われている微粉炭燃焼ボイラーと重油燃焼ボイラーの特徴を次に示します。
 微粉炭燃焼ボイラーのダスト濃度に最も影響を与えるのは石炭中の灰分で、灰分が多いほどダスト濃度は高くなります。また、ダストの粒度に最も大きな影響を与えるのは石炭の微粉度で、微粉度が細かいほど粒径分布は細かくなります。
 また、およそ粒子径45μm以下の微粒子は微粉炭の完全燃焼に伴って灰分がいったん溶融し、温度降下によって凝縮し生成するためきれいな球状をしています。一方、粒子径45μm以上の粗粒子は、微粉炭の不完全燃焼に伴って生成したもので、不規則な形状をしています。
 ダストの密度は2.1✕10^3kg/㎥で、かさ密度は700kg/㎥程度であります。ダストの主成分は二酸化ケイ素(シリカ、SiO2)、酸化アルミニウム(アルミナ、AI2O3)になります。二酸化ケイ素が多いほど、酸化ナトリウムや未燃カーボンブラックが少ないほどダストの見掛け電気抵抗率は高くなります。また、排ガス中の水分とSO2は多いほど見掛け電気抵抗率を低下させる効果があります。
 重油燃焼ボイラーでは、酸素量を絞った運転(低酸素燃焼)を行うと、三酸化硫黄(SO3)および一酸化炭素の生成量は少なくなりますが、未燃カーボンが増えます。ダスト濃度は0.1~0.2g/㎥N程度でありますが、近年の低硫黄重油では一般に0.1g/㎥N以下に減少しています。ダストの粒径分布はボイラーの構造や燃料の相違によるばらつきが極めて少ないです。
 ダストの形状は、粒子径20μm前後の比較的粗いアッシュ、コークス状の多孔質粒子と、粒子径0.01μm程度の極めて微細なカーボンブラック主体で、一般にカーボンブラックは30%前後含まれており、相当に凝集しています。燃焼ガス中には通常11%程度の水分と20ppm前後のSO3が含まれ、ダスト表面に吸着されて酸性ダスト(アシッドスマット)を生成します。

表.主な発生源施設からのダストの特徴
発生源施設濃度粒径
微粉炭燃焼ボイラー高品位炭 20g/㎥N 
低品位炭 35~45g/㎥N
中位径 15~35μm
重油燃焼ボイラー0.1~0.2g/㎥N粒子径 20μmと0.01μmの
2種類
黒液燃焼ボイラー5~6g/㎥N中位径 0.1~0.3μm
焼結炉0.5~2.5g/㎥N粒子径 5μm以下20~60%
粒子径 10μm以下30~50%
転炉スタビライザー入口 15~25g/㎥N
ガス回収の場合一次集じん装置入口
70~80g/㎥N
中位径 0.2μm
電気炉発生場所 10~30g/㎥N
集じん装置入口 2~10g/㎥N
中位径 0.1μm前後
鋼鉄用溶鉱炉3~5g/㎥N
セメント製造炉操業条件により著しく異なる
骨材乾燥炉50~60g/㎥N粒子径 10μm以下20~30%
非鉄金属溶解炉10~30g/㎥N程度
ディーゼル機関重油燃焼ボイラーの1/3粒子径 20μmと0.02μmの
2種類
ガスタービンばいじん濃度低い粒子径 0.01μmのカーボン
ブラックが主体

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【ばいじん・粉じん特論】ダストの特性




 気流中に含まれる固体粒子の分離操作は一般に集じんと呼ばれ、従来から化学工業を中心に固-気系機械的分離操作として活用されてきました。有価物質の回収、有害物質の除去などの目的で気流中の固体粒子を分離する装置を集じん装置といいます。集じん操作の対象となる固体粒子はダストと呼び、1μm以下のフュームも含めてダストという場合も多いです。
 一方、液体粒子も集じんの対象となり、10μm以下の液体粒子をミストと呼び、その除去のための装置をミスト分離装置または気液分離器、あるいはデミスターと呼んでいます。
 集じん装置によってダストを分離捕集する場合、処理ガスの特性とともに、ダストの特性に応じて装置の種類を選定し、仕様を決定し、操作条件を決めます。ダストの種類には、粉細やふるい分けなどの機械的工程から発生するものと、燃料の燃焼過程から発生する煙、および焼結、加熱、溶融、溶接など固体が蒸発し、これが凝縮して生成するヒュームとがあります。こうしたダストの生成過程により、また使用する原料によってその物理的・化学的性質が異なります。
 ダストの特性としては、粒子そのものの密度、粒子形状、表面の粗さ、かさ密度、比表面積、摩擦角、付着性や親水性、毒性、爆発性などが挙げられます。中でも、ダストの特性として常に検討の対象とされるのは、濃度と粒径分布です。そして、これらはダストの種類、すなわち発生源の施設によってほぼ定まります。
 大気汚染防止法で排出規制の対象となるばいじん濃度は標準状態(0℃、101.32kPa)の乾きガスに換算した単位体積当たりの粒子質量、すなわちg/㎥Nで測定、表示されます。粒子径の分布を表す方法としては、積算分布(ふるい上分布)によるものと頻度分布(各粒子径ごとの存在割合)によるものがあります。頻度分布とふるい上分布の関係は下図のとおりになります。
図.粒子径の頻度分布とふるい上分布の関係
積算分布(ふるい上分布):ダストの粒径分布を任意の粒子径より大きい粒子が全体に対して占める割合で表す方法で残留率ともいい、記号としてR(%)を用います。
頻度分布:ダストの粒径分布を、適当な粒子径間隔ごとに質量または個数割合で表す方法。
最大頻度径:頻度分布曲線においてピークに対応する粒子径のことで、モード系とも呼びます。
中位径:ふるい上曲線において、R=50%に対応する粒子径のことで、メディアン径あるいは50%粒子径と呼びdp50で表します。

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【大気特論】通風および通風装置




 人工通風は、燃焼効率を高める場合、煙突の高さが制限されている場合、通風抵抗が大きい場合に有効であります。
 押込通風は送風機で空気をたき口から押し込む方式で、押込通風機、ダンパーおよび煙突で通風力を調節します。排ガス温度をあまり下げると煙突の通風力が低下するため炉内圧が高くなって火を噴くので、一定温度以下に下げられません。
 吸引通風は煙突の下部または煙道に吸引通風機を設置し、吸引通風機、ダンパーおよび煙突で燃焼ガスを炉内から吸引します。炉内は負圧であるために冷空気の侵入はありますが排ガス温度を下げても支障はなく、むしろ通風機のためには低い方がよいです。
 平衡通風は押込通風と吸引通風を結合したもので、炉内圧を自由に調節できます。炉内圧を大気圧近くにしておくと冷空気の侵入も火炎の吹き出しもなく、設備の負荷変動にも対応でき、最も合理的ではありますが、設備に費用がかかります。


表.人工通風の方法と特徴
種類炉内圧欠点
押込通風やや正圧排ガス温度をあまり下げられない。
吸引通風負圧排ガス温度をあまり高くできない。
平衡通風調節自由設備に費用がかかる。

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