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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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カチオン系電着塗料



カチオン電着は被塗物を陰極として直流通電して塗装する方法で、したがって、電着槽内塗料は(+)に解離する必要があります。すなわち一般には分子中に多数のアミノ基(-NR2)を持つポリアミノ樹脂が用いられます。基本骨格をなす樹脂としてはエポキシ樹脂(ビスフェノール型)に1~4級のアミン(一般には2級アミン)を付加することにより得られたポリアミノ樹脂で、通常有機酸で中和し水溶化あるいは水分散化されて(+)に荷電しています。電着過程においてはポリアミノ樹脂は陰極表面(被塗物)に向かって移動し、陰極表面のpHの上昇により樹脂は凝固し、被塗物表面に塗膜を形成します。しかし、実際には、このままで硬化しないので架橋剤としてイソシアネートを用いるのが一般的です。イソシアネート化合物としてはトリレンジイソシアネート(TDI)で、この場合、イソシアネートを一価アルコールでブロックした後、残存するイソシアネートをポリアミノ樹脂中の水酸基、またはアミノ基と反応させて樹脂中に導入します。
 または、全てのイソシアネートを一価アルコールと反応させて、ポリアミノ樹脂と混合して用います。硬化反応は電着、水洗後、加熱によりイソシアネートをブロックしている一価アルコールが揮発し、直ちにエポキシ樹脂と反応する形態をとります。この場合ブロック剤が脱離して、揮発するため、ブロック剤が煙またはヤニにならないように選択する必要があります。ポリアミノ樹脂を可溶化するため用いられる酸は酢酸またはその誘導体が多いです。

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アニオン系電着塗料の種類と特性2



▽アクリル樹脂系塗料
 電着用アクリル樹脂はメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルモノマーの重合時に水酸基、カルボキシル基カルボキシル基、アミド基、などの親水基を持つモノマーを共重合して、重合体の中にこれらの基を導入して電着用とします。電着塗料化する場合には、一般に硬化成分として水溶性アミノ樹脂を配合して用いられますが、この場合基体樹脂と架橋剤の泳動ー析出速度の差などの点から、組み合わせの選択が重要です。この塗膜は淡色保持性に優れ、耐化学性、耐候性に富んでいることから淡彩用、アルミ塗装用などに用いられます。

▽液状ポリブタジエン樹脂系塗料
 ポリブタジエンは重合条件により分子量、化学構造に各種のものが得られます。特にその化学構造の差は生成ポリマーの性状を著しく左右します。
 液状ポリブタジエンは主査が炭化水素のみであるため耐薬品性、耐水性、耐食性に優れており、1,4型と1,2型とでは1,4型が酸化乾燥速度が速く、1,2型は硬化性良好で硬い皮膜が得られます。電着用塗料への応用は無水マレイン酸でマレイン化して活用され、マレイン化油、エポキシエステル系、アルキド樹脂系の電着塗料の塗膜性能につき比較すると、1,4型PBは耐食性に優れ、1,2型PBは耐水性に優れています。

▽スチレンアリルアルコール樹脂系塗料
 スチレンアリルアルコール共重合体のような比較的高分子量のポリオールに乾性油脂肪酸を反応させてエステル化し、これに無水マレイン酸を付加してマレイン化エステル化物を作り、これにフェノール樹脂成分を混合して電着用に供します。この電着塗料は、硬度高く、密着性に優れ、つき廻り性が良いです。

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アニオン系電着塗料の種類と特性1



▽マレイン化油系塗料
 あまに油や脱水ひまし油に無水マレイン酸を反応させてマレイン化油とした水溶性塗料で、単独では電着特性、塗膜性も十分ではありません。そのため、さらにスチレン、ビニルトルエンなどを付加重合させるとか、フェノール樹脂、アミノ樹脂などを混合、縮合させてマレイン化油を持って電着塗料化したものです。

▽アルキド樹脂系塗料
 樹脂骨格内に多くのカルボキシル基(-COOH基)を導入し、比較的低分子の水溶性アミノ樹脂(HMMM)を併用したもので、焼き付けすることにより高分子化します。電着用塗料としては、硬化成分としての架橋剤や、中和剤の選択が重要であり、その種類により塗料状態、電着塗膜性能が左右されます。

▽エポキシエステル系塗料
 エポキシ樹脂に乾性油脂肪酸でエステル化し、このエステルの脂肪酸に無水マレイン酸を付加して、アンモニア、または有機アミンで中和し、水溶性樹脂としたものをもって電着用塗料としたもので、マレイン化油系塗料に比べ耐食性、耐アルカリ性に優れています。

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